第11話

1−9[結花side]
116
2018/01/14 13:01



結花side


歩夢
なんで今日何もしなかったの〜?
歩夢
つーまーんーなーいー
歩き始め、学校から少し離れて来たところで歩夢が口を開く。
結花
なんでって…唯月が来たから
優羽
唯月とは仲良くしたいじゃん?
歩夢
そうだけどー…
幼い子どものようにぶーっと少し頬を膨らませて不満を漏らす歩夢。


私だって鬼じゃない。

犬の躾(シツケ)なんて転校初日に見るのには少し刺激が強すぎるでしょう??
結花
今日、出来なかったことを明日やればいいじゃない
歩夢
楽しいならそれでいいけど…
少し膨らませた頬はそのままだけど、その表情はどこが楽しそう。




明日は何をしようか、と話し始めた歩夢と優羽。


2人の隣を歩いていた足を少し遅め、一歩後ろを歩く。




見ているだけで、…指示を出すだけで事が進む。

これ以上に楽なことなんてない。


勿論、見ているだけじゃつまらないから私も行動はする。



それを止めるクラスメイトなんていない。

みんな犬になんてなりたくないでしょう?

だから、みんな私には逆らわない。自分を守るために。


それは先生だって例外じゃない。それにきっとあの人は気づいてる。

けど、あの人はプライドが高いから自分の受け持つクラスでそんなことが起きてるなんて自ら言うはずがない。


見て見ぬふりってやつ。





皆さんお気づきの通り犬っていうのは音羽のこと 。


音羽は、人のものを勝手に傷つけちゃうような悪いわんちゃんだからしっかり躾をしなきゃいけない。



遅れていた足を早めて2人の隣に並ぶ。

結花
さあ、明日は何をしようか!




いつもより少しテンションをあげて言ったその声は夕方の私達以外に誰もいない道路に静かに響いた。



プリ小説オーディオドラマ