私は少し笑って、肩までかかっている髪を耳にかけ直した。黒髪も嫌がられたりしないか、少し不安だった。
何よりも、
町をなかなか出なかった自分に、
リカルドさんは「そんな顔をしてますよ。」と、少し心配そうな笑みを浮かべた。
その笑みを見て、私は思わず下を向く。
さっきから何かに触れとかないと落ち着かないのは、
多分、緊張してるのと不安があるから。
けれど、それを一瞬忘れかけたくらい、リカルドさんの青い目が綺麗だった。中に星があるみたいで。
そう言うと、リカルドさんは前を見て、「そろそろ着きますよ!」と言った。
門の前まで来たところで、馬車が止まり、リカルドさんの手を借りて、ゆっくり地に足を付けた。
見上げると、大きな建物がそびえ立つ。
壁が白く、屋根が青い。
ずっと、家の窓から見ていた屋根なんだと思うと不思議でとても、信じられない。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。