彼女の慈悲は深かった____?
イタリアへ
イタリア
最初はただ、遊びだったのかもしれない。君の陽気な笑顔に引き寄せられたのは、私の甘さだと思う。でも、貴方も気づいていたはずよ____私が本当に求めているのは、優しさなんかじゃなくて、全てを支配できる力。
でも、貴方と過ごした時間は確かに楽しかったよ。君の手料理は最高だったし、私が飽きる前に本当の笑顔を見せてくれてありがとう。最後、私に微笑んだ君の顔が思い出される。貴方は、自分が「利用したつもり」だったけど、私は確かに貴方の一部に触れた気がした。
ありがとう、イタリア。貴方も、きっと誰かに愛されるべきだった。
インドへ
インド、
貴方が抱えている本当の恐怖は、きっと私が引き出したんだろうね。私の力に取り憑かれて、貴方はすぐに私に近づこうとした。でも、その結果がどうだったか、わかっているでしょう? 私が貴方を愛したわけじゃない、貴方が私に引き寄せられたんだ。
貴方が私を恐れながらも、何度も手を伸ばしたこと、それを私は知っている。貴方が無意識のうちに求めたものは、私の力と絶対的な支配だった。でも、貴方の本心を知りたかった。…でも、もう遅い。
貴方もまた、私に死をもたらされた一人だ。それでも、私は感謝している。
サウジアラビアへ
サウジアラビア、
貴方は最初から、私の力を使おうとしていた。でも、貴方が自分の弱さを認めて、私を見つめる時、その目に何かを感じたんだ。貴方が本気で私を愛したかどうかはわからないけど、貴方の死に際の静けさは、私を少しだけ救ってくれた。
私は貴方にとって、ただの手段だった。でも貴方も、私の魔性に引き寄せられたことを忘れない。
貴方が最後に残した祈りの言葉、私は聞こえたよ。私が救われない限り、貴方は安らかに眠れなかったのかもしれないね。
ありがとう。私は心も飾られたかった。
スペインへ
スペイン、
君は正直だったね。自分の欲望を隠そうとせずに、ただ、私に惹かれていた。でも、君の「好き」と私の「飽き」が交わることはなかった。君は気づいていたはずだ、私が何を求め、何を犠牲にしてきたのか。
最後に君が私に言った「おやすみ」――それが一番響いた。君が本当に優しさを持っているなら、もう少し生き延びてほしかったけれど、君もまた、私の中に引き寄せられていった。
ありがとう、スペイン。君も本当に、生きる価値があった人だった。
ブラジルへ
ブラジル、
君が何を考えていたのか、最初は全然わからなかった。でも、君の笑顔と軽口の裏には、少しだけ心を開いている自分が見えたよ。「利用する」と言っていたけれど、実際は君も私に引き寄せられていたんだ。
最後に言った「わっはー」――あれだけは、どうしても忘れられない。君が残した唯一の本心だと私は思っている。君の死が無駄だったなんて思わないよ、君の言葉に、少しだけ救われた気がするから。
君にありがとう。君の最期は、私にとって少しだけ救いだった。
カナダへ
カナダ、
君はずっと、私のことを見ていたんだね。誰よりも静かに、でも確かに。君が死ぬ間際に、私を「見ている」っていうことがわかった。
君のその静けさが、私には最も恐ろしかった。君が、私が飽きて死んでいくのを許したからだ。
君の最後の祈り――少しだけ聞こえたよ。君は最初から私に近づくことを避けて、でもやっぱり引き寄せられていた。君の静かな死を私は覚えている。
ありがとう、カナダ。君が私を救えなかったとしても、君の死は少しだけ私に人間らしさを思い出させてくれた。
すべてのあなたたちへ、
最後に言いたいことがある。
私があなたたちを愛したこと、あなたたちが私に与えてくれた感情、すべてが私の中で消えたわけじゃない。
でも、私は何度も繰り返すだろう。
愛して、飽きて、そしてまた始める。
あなたたちも、私も、みんな同じ。
何も変わらない、ただそれだけ。












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。