爽快な挨拶が耳に入り振り向くと、
ケーキ屋さんがセールをしていた
商品のあるガラスを見ていると、
1つのケーキが目に止まる
猫型のチョコがケーキに乗っている
しかも貝のような猫
つぶらな目に鮮やかな茶
相澤が好きそうな猫だ
あなたはスキップでもしたい気持ちになったが
ケーキがあるのでやめといた
PCを勢いよく閉じ、溜息をついた
今日だけは徹夜も残業も仕事を残すことも許されない
オールマイトとセメントスが微笑みながら言ってきた
朝は遅刻させてもらい、
山田と2人で卒業式を見てきた
10分もいなかったが、
袴姿を見れただけで良かったと相澤は思っている
そう言いながら帰る支度を始めた
何年ぶりに夜にならず帰るだろう
帰るのがこんなに楽しみだったことは無い
まだ午後6時
早くしなければ“あれ”がバレてしまう
早く隠さねば
そそくさと職員室から出ていった
帰る途中、ふと目に入ったのはケーキ屋さんだった
早く家に帰りたい気持ちもあるが、喜ばせたい
何せそのケーキは
小さなイルカの砂糖菓子が乗ったケーキなのだ
先程の自分の悩みなんて気にしない快い返事をして
店員は用意してくれた
声を出してみるが誰も出てこない、
靴もないためまだあなたは帰ってきていない
時計を見て、そりゃ当たり前だと思った
まだ6時半
準備はできる
気合を入れ袖をめくる
用意していた本を開いた
今日、あなたは卒業した身だ。しかも帰省者
そんな人に晩御飯を作ってもらうなんて
失礼極まりない
貝がうにゃあと鳴いた
応援してくれてるように相澤には聞こえた
ブブブ、とスマホが震えたと思ったら、
元同級生の芦戸からだった
恐らく相澤のことだろう
今回に関しては顔が見えないが
ニマニマしている芦戸が思い浮かぶ
突っ込んでいると、
スマホから何か話し声が聞こえてきた
多分、蛙水と葉隠だろう
微かな声から麗日と八百万、耳郎もいると分かる
そう言って、芦戸との電話を切る
ヒーローは非常勤、なんてものはそうそう無い
会える時に会うのがベストだ
これからのことを想像して、あなたは足取りを弾ませた






















編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!