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[トコトコトコ]
今は帰り道。
僕、由衣、琳花、透、圭の5人は、駅まで歩いている。
[パシャパシャパシャ](由衣が写真撮った音)
……みんな幸せそうだな。
……………みんなが幸せなら、いい、筈。
その時だった。
「ニャ〜」
[タッタッタッ]
猫が逃げてしまった。
すると当然、猫好きの由衣はその後を追いかける。
そして猫に逃げられ、半泣きで帰ってくる。
今日もそんな日常の一コマがある筈だった。
…あるはず、だった。
どうやら猫好き魔人には僕等の忠告は聞こえていなかった様だった。
逃げ出した猫の後を追いかけて。
飛び込んでしまったのは
真っ赤に変わった信号機。
[キキィィィィィィィーーーーーーーーーィ]
バッと通ったトラックが
君を轢きずって鳴き叫ぶ
見ると由衣が助けたさっきの猫が慌ててこちらへと駆けてくるところだった。
よく見ると、まだ幼い猫だ。
猫は僕のサブバッグに入れておく。
由衣はトラックの下敷きになって、紅い華を咲かせていた。
血飛沫の色、君の香りと混ざってむせかえった。
どうして。
どうして由衣が。
由衣の後ろにはトラックの運転手が立っていた。
陽炎の中で、嘲るような表情をしているのが本当に気に食わない。
嘘みたいなこの時間の中で。
嘘みたいな陽炎が、「嘘じゃないよ」って嗤ってる。
周りはとてもうるさいはずなのに、酷く静かに感じた。
由衣が口を開く。
そう言って、由衣は夕焼け空を見上げた。
由衣はその言葉を最期に、事切れた。
夏の水色掻き回すような蝉の音に全て眩んだ。
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〈由衣side〉
どうやら私は死ぬらしい。
まぁ…後悔はたくさんあるけど、もういいか。
地面に転がっていると、空がものすごく綺麗に見えた。
茜色と宙色の大空。
目の前を無数の思い出が駆け巡る。
これが俗に言う『走馬燈』というものなのだろう。
たくさんの思い出を、想い出を、懐かしく思う。
今はただ。
この美しい景色を観ていたい。
何故かまだ見ぬ未来、あなたが輝いて幸せになっている夢を観た。
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。