そりゃそうだよね。
おかしいよね、こんなの。
入れ替わっちゃったって言っても、信じてもらえないだろうし。
マホトの言う通り、一生このままかもしれない。
マホト(私)が、シルクの肩を触る。
"ずきん"
また
また胸が、
また胸が痛い。
マホト(私)が焦ってる。すごく焦ってる。
とりあえず、バレないようにしたかった私達は少し強引にシルクを遊園地にに向かわせようとする。
本当にゴリ押しだな…マホト。
私もマホト(私)に便乗する。
私(マホト)とマホト(私)は、席を立ちシルクを追いやった。
席に戻り、何故かまた沈黙が続く。
マホト(私)が軽い溜息をつく。
自分瞳を見ることなんて初めてだからか、何故か釘付けになる。
自分の瞳に。
ニヤッと笑う私(マホト)は、もはやマホトそのものだった。
私の声って今まで気にしたことなかったから、今初めて聞いた感覚になる。
今、私が目の前にいて。
変なことを喋って。
冷静に考えると。
本当大変な事態だって。
今更気づいた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!