第61話

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2025/02/06 11:15 更新



泣くことが、少ない人間だったと思う。
いや、そもそも感情表現が上手くなかった。

  だって、泣いても誰も助けてくれないから。



  一人で泣いたあと、目が乾燥して、喉が渇いて。
ただ水分が消耗するだけの醜い行為に、
意味があるとは到底思えなくて。


  泣いて眠っても、私一人でしかないことが、
どうしようもなく辛い気がして。





だから、




あなた
うっ、ぁ、ひっ、う ……


             泣いている時に、背中をさすられるなんて。

泣いている時に、頭を撫でられるなんて。




知らなかった。

だから、きっとそれがさらに視界を滲ませた。



  


あなた
________うぅ ……
夜神 月
落ち着いた?


散々泣きわめいた後、涙も涸れてきて、
その上優しい顔でそう聞かれれば
また羞恥心で泣いてしまいたくなりそうだった。



は、恥ずかしすぎる ……

あれだけ怒って喚いて、その後今度は泣きわめくとか。
自分から見ても情緒不安定すぎて恥ずかしいむり。

L
怒る理由は検討つかなくて困りましたが、
まさか私達が原因とは … 。

そんな恥ずかしい状況の私に
トドメ刺そうとしてくるのはなんなの??


あなた
怪我してまで、
こんなことする必要なかったのに。
夜神 月
…… それ、
夜神 月
本気で言ってる?


え? と言葉を返そうとした瞬間、
夜神君は「竜崎」と呼ぶと

竜崎さんに手首を掴まれて、
夜神君に制服の上のボタンをプチプチと外される。


あなた
( え? え? )


え?? この状況で脱がされることある? え?

  そう思っていると夜神君は
上の2段のボタンを外し終えた所で手を止め、
制服を軽く引っ張り、


私の首元と鎖骨があらわになる。


夜神 月
………
あなた
( ……… あー )
あなた
( 抵抗すればよかったか )


それ を見た夜神君の表情は歪み、
私は先程の行動の間違いを悟る。

L
首を絞められた跡。
煙草を押し付けられた跡。
L
怪我が治る前に新しい怪我をさせられ、
こんなに消えるかも分からない跡が残って。
L
それでも、貴方は私達に助けられずとも
普通に生きれていたと思うのですか?
あなた
……… 今のは私が悪いです。謝罪します。
あなた
すみ_______いや、ごめんなさい。




L
____で、これからの話に移りますが。
L
私達、まだ言われてないんですよね。
あなた
え?
夜神 月
…… ああ、なるほど、確かにな。
夜神 月
うん、言われてないな。
あなた
な、何を??


さっぱり私に言わせようとしてる言葉が読めない。
謝罪? …… は、彼らの性格からして違いそうだし。


あなた
あ、ありがとう … ?
L
違います。
あなた
即答 ……





夜神 月
あなたの口から聞くことに、意味がある。
夜神 月
僕、まだ聞いてないよ。
夜神 月
____「▇▇▇▇」って。
あなた
_____ぁ、


それは、私が一生で一度も言うはずがなかった言葉。


  言う相手がいなかったから。

言っても何も変わらないから。

言ったって、また泣いてしまうだけだから。



  言っても、許されるのかな。
こんな、汚い私が、言っても。




L
私が嘘をつくように見えますか?
夜神 月
寧ろ人を騙すこと一番得意だろ。
L
黙っててください。
月君には聞いてません。



二人の会話に、なんだか懐かしさを覚えて
笑いがこぼれる。


  ゆる、されるなら。








あなた
________たすけて、



そう言った瞬間に、
また大好きな茶色と黒色が滲んだ。


  

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