第10話

Final stage
60
2021/04/10 09:11
日曜日、あの出来事が昨日だと言うのにすっかり打ち解けてお互い遠慮なく話せるような仲になった。

昨日の後味が悪かったので口直しならぬ気分直しということでゲームセンターに来て二人で対戦型の音ゲーをしている。
春川紗希
春川紗希
あー!後少しだったのに!!
青風音羽
青風音羽
へへっ...これが経験の差だ
春川紗希
春川紗希
いや、その経験の差を後少しというところまで追い詰められてんだよ
青風音羽
青風音羽
ウグッ
お互い気を使わない会話はとても気持ちがいい。

世の中みんなこんなだったらいいのに。


コンテニューするため財布を取り出そうとした時、遠くの方にクラスメイトが居るのに気がついた。
クラスメイト
あれ?あの人紗希じゃない?
クラスメイト
あっ!ホントだ!何やってるんだろ...
クラスメイト
あれじゃない?あの..えっと....そうそう音ゲー!
クラスメイト
隣りにいるのは...誰だっけ
クラスメイト
青風さんでしょ
悲しいことに名前すら覚えられていなかったらしい。

いや、そんなことどうでもいい...いや良くないけども!!


少し遠いゲームセンターを選んだのだが珍しくそこにはクラスメイトが来ていた。


自分は別にいいが春川さんは音ゲーをやっているところを見られた時点でゲームオーバなのだろう。

クラスメイトがこちらに向かってこようとした瞬間反対側へ走り出す。


遅い足を頑張って走らせ必死についていく。


人気のない場所に着きしゃがみこんだ春川さんの表情は青ざめていた。

トラウマを思い出したのだろう。

私はただただ肩に手を置き、黙って一緒にいることしかできなかった。













翌日、いつも通りに学校につき教室に向かうと教室の扉の前でじっと佇んでいる春川さんの姿があった。
青風音羽
青風音羽
...入るよ..
前に立ち扉を開ける。

それと同時に数人の視線が一気に刺さる。

...馴れない..


春川さんが来るのがいつもより遅いから待っていたのだろうか。

関係ないはずの自分まで怖くなってきて恐る恐る教室に一歩踏み出すと、
クラスメイト
あっ!紗希!おはよう!!
クラスメイト
青風さんもおはよう!今日は紗希遅かったね!
...あれ?

これは人を虐めるような態度じゃないぞ..?
クラスメイト
ねぇねぇ!昨日音ゲー?って言うんだっけ?それやってたよね!
春川紗希
春川紗希
えっ...あ...
クラスメイト
私達も興味あったんだ!教えてよ!何も知らずにあそこ行く勇気なくてさぁw
春川紗希
春川紗希
えっ...いじめ...ないの?
クラスメイト
え?何いってんのwそんな薄情者に見えるw?
クラスメイト
というかどこに虐める要素あるんだよw
クラスメイト
紗希ってそんなゲームってイメージなかったからねぇ
クラスメイト
この際その喋り方もやめよ?気楽に話そうぜ!
あーあ..全然大丈夫じゃん。


高校生にもなったらその程度でいじめはおこらないか...




春川さんもあの様子だし私が一緒に遊びに行くことはなくなるかなー。


これが当たり前だったけど寂しいものだね。
クラスメイト
ねぇねぇ!今日の放課後行うこよ!
春川紗希
春川紗希
おけ!でも...
そっとその場を立ち去ろうとした時急に腕を捕まれ、
春川紗希
春川紗希
音羽もいっしょにいい?ボカロ詳しいんだ!私に音ゲー教えてくれたのも音羽!
青風音羽
青風音羽
...へ?
クラスメイト
えっ!?名前で呼び合うほど仲良かったの!?
クラスメイト
おすすめのボカロ教えてよ!青風さんも行こ!
.....友達付き合い..


また、中学の時のようにならないか、そんな不安があった。

でも...
青風音羽
青風音羽
いいよ!紗希・・
一歩踏み出せそうな自分が居た。
青風音羽
青風音羽
あっ、ついでにそこで佇んでる怜央もいいかな?こいつ無駄に音ゲースキルあるんだw
鈴木怜央
鈴木怜央
ついでってw酷すぎだろw
クラスメイト
凄い心強いわw





縛られずに好きなことをできるようになった二人の少女は心の底から笑えていた。








Final stage



本音を弾いて偽って 𝓯𝓲𝓷

プリ小説オーディオドラマ