爆発で砕けたガラス。
焦げた匂い。
どこかの店の中身が吹き飛んで、
瓦礫の山と化した歩道。
そんな惨状の中を、
あなたとBSAAの部隊が静かに進んでいた。
先頭を行くクリスの低い声が響く。
あなたは、ピアーズの少し後ろを歩いていた。
荷物は少なく、借りた防弾ジャケットに
身を包んでいても、どこか小さく見える。
――それでも、昨日よりは少しだけ
歩き方がしっかりしている気がする。
と、ふと。
ピアーズは、すぐ後ろの気配が
微かに止まったのに気付いて、
さりげなく振り返った。
あなたが、立ち止まっていた。
瓦礫の向こう――割れたショーウィンドウの奥、
かろうじて残った看板を見上げている。
目を細めると、そこに描かれていたのは……
白くて丸くて、どこか間抜けな
表情のキャラクター。
ピアーズが少しだけ顔をしかめていると、
あなたは気付いたように慌ててまた歩き出した。
でも、その頬には、
少しだけ緩んだ笑みが残っていた。
ピアーズは歩幅を合わせて並ぶと、口を開いた。
あなたは驚いたように彼を見て、
それから、恥ずかしそうに頷いた。
あなたは「え?」という顔をして、
少しだけ笑った。
そう言って、自分の手で輪を作って、
看板の丸いフォルムを真似する。
ピアーズは、ほんの一瞬、
吹き出しそうになったのを堪えた。
想像してみる。
あの間抜けな顔のキャラが
プリントされた枕を抱いて眠る彼女――
思わず、口元が緩む。
あなたは首を傾げた。
意味が通じたかどうかは分からないが、
ピアーズの表情に何かを感じ取ったようで、
少し照れくさそうに視線を逸らした。
ピアーズは、しばらくその横顔を見ていた。
いつも周りに合わせて、静かに笑って。
自分のことを語ることも、
主張することもなかった彼女が、
ふとした瞬間に見せた、心からの“好き”。
その一瞬が、妙に印象に残った。
小さな声で、誰にも聞こえないように呟く。
あなたは聞こえていなかったのか、
そのまま前を向いたまま。
ただ。
ピアーズの胸の奥には、
確かに一つ――“彼女の輪郭”が加わった。
ーー
彼女を守りたいと思った理由に、
「知りたい」という気持ちが重なっていく。
その気持ちは、任務の枠を超えて、
少しずつピアーズの心を占めていった。













編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。