第80話

ピアーズ・ニヴァンス『守りたい理由』④
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2025/07/06 17:13 更新




夜明け前。

まだ辺りは薄暗く、
仮設キャンプの空気は冷え込んでいた。

物資の補給に向かっていた偵察班が、
緊急連絡を入れてきた。

“正体不明のB.O.Wを確認、
移動ルートに変異体の群れ”

ざわつく隊員たち。
あなたもその気配に目を覚ました。



あなた
…何か、あったんですか?




起き上がった彼女に、
近くの隊員が簡単に状況を説明する。

英語の専門用語ばかりで、
細かい部分までは分からない。

でも、“すぐに移動が必要”という
ことだけは伝わってきた。

隊員たちはすぐに撤収を始めた。

ピアーズは、装備を整えながら
あなたのそばに来る。




ピアーズ・二ヴァンス
ピアーズ・二ヴァンス
ここから少しだけ移動する。
ピアーズ・二ヴァンス
ピアーズ・二ヴァンス
大丈夫、俺が一緒にいる




短い言葉だったけど、それだけで安心できた。

あなたは深呼吸し、小さく頷いた。



ーー



移動の途中。
霧が深く、視界は最悪だった。

ピアーズがあなたの手首を軽く掴んで、
後方を守るように歩いていた。

突然、何かが茂みを割って飛び出してくる。



あなた
っ...!




前を歩いていた隊員のひとりが襲われ、
悲鳴を上げる。

その瞬間、混乱が広がった。

銃声、怒号、そして濃くなる霧――。

あなたは必死に周囲を見回し、
ピアーズの姿を探す。



あなた
……っ、ピアーズ!




無意識に名前を叫んでいた。

それは、助けてという意味だけじゃなかった。

――いて、欲しかった。
ただ、それだけだった。




ピアーズ・二ヴァンス
ピアーズ・二ヴァンス
ここだ、離れるな!




即座に返ってきた声。
あなたが振り返ると、そこにピアーズがいた。

B.O.Wを撃ち抜きながら、
一直線に彼女の元へ向かってきていた。

そして、あなたの腕をしっかりと引いて、
自分の背後に庇う。




ピアーズ・二ヴァンス
ピアーズ・二ヴァンス
大丈夫か?
あなた
…うん、でも…怖かった。




震える声に、
ピアーズは一瞬、目を細めた。

そして、手を伸ばして、
彼女の肩を包み込む。



ピアーズ・二ヴァンス
ピアーズ・二ヴァンス
大丈夫。俺が、いる




それは彼の中では、きっと特別な言葉だった。

誰にでも使うようなものじゃない。

あなたはうっすらと涙をにじませながら、
小さく頷く。



あなた
……ありがとう。来てくれて
ピアーズ・二ヴァンス
ピアーズ・二ヴァンス
呼ばれたら、駆けつける。
ピアーズ・二ヴァンス
ピアーズ・二ヴァンス
何があっても、君の声だけは、
絶対に聞き逃さない。




不器用にそう言って、
視線を逸らす彼の横顔が、
ほんの少し赤かった。

そして彼女は、ふっと笑った。



あなた
ピアーズ....
ピアーズ・二ヴァンス
ピアーズ・二ヴァンス
……ん?
あなた
……そう、呼んでいい?




ピアーズは一瞬だけ目を丸くして、

そして――



ピアーズ・二ヴァンス
ピアーズ・二ヴァンス
もちろん




ぽつりと、でも確かにそう答えた。



ーー



銃声が止み、霧の中を静かに進むふたりの影。

その距離はもう、
守る側と守られる側じゃなくなっていた。

たとえ言葉が足りなくても、
名前を呼ぶその声と、
すぐに駆けつけてくれるその行動が、
互いを強く、結んでいた。

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