少しして、ジョンウォン達が工場から出てくる。
その姿を見て、ジナは思わず息を呑んだ。
みんな、かなり傷ついていた。
制服は乱れ、頬や手には擦り傷や打撲の痕がある。
みんなは、ジナがいることに気づくと驚いて目を丸くした。
「ジナ…!?」
ジェイが慌てて駆け寄ってくる。
「何でここに…?」
ジナは、みんなが心配で、位置情報を頼りに来てしまったことを説明する。
「怪我は無い?」
ジェイが心配そうに聞く。
「うん、大丈夫。」
「そっか……。良かった……。」
そう言って安堵の溜め息をもらした。
「みんな…酷い怪我してる……。」
ジナはみんなを見渡して、心配そうに眉をしかめる。
「心配すんなって。
歩けてるんだし、大丈夫大丈夫。」
ニキが言う。
しかし、大丈夫と言われても不安が無くなる訳ではなかった。
「ジナ、ソヌの様子はどう?」
そう聞くジョンウォンの声には、疲れが滲んでいる。
「熱出しちゃったみたいで…。」
ジナは、ソヌの体調と、さっき店で買ってきた物のことを伝えた。
「そっか。」
ジョンウォンが頷く。
「ありがとう、ジナ。」
「う、うん。」
「ソンフニヒョンの家が一番近いから、みんなで行って休みましょうか。」
ジョンウォンの言葉に、みんなは賛成して頷いた。
ジョンウォンは、ソンフンの方を見る。
「ソンフニヒョン、ソヌのことおんぶ出来ますか?」
「うん、分かった。」
ソンフンがソヌをおんぶすると、一同は歩き始めた。
しばらく歩いたところで、ソンフンの背中からソヌの弱々しい声がする。
「ヒョン……。」
「ん?」
「もうちょっと、そっと歩いて下さい……。」
「人をおんぶしてるのに、それは無理だよ。笑」
二人のやり取りは、全員の耳に届いていた。
「でも……何か酔ってきた……。」
「何に酔うんだよ。」
「乗り物酔い……みたいな……。」
「僕は乗り物じゃないんだけど。」
「うっ……。」
ソヌが苦しそうな声を出す。
「おい!吐くなよ?」
ソンフンは焦って言った。
「……吐くかもぉ……。」
「やめてっ!?お願いだから今はやめて!」
ソンフンの焦った様子がおかしくて、みんなは思わず笑った。
「っ……ゴホゴホッ。」
ソヌは咳き込む。
「……大丈夫。喉に何かつかえただけ……。」
「……あ〜もう。」
ソンフンは呆れたように息を吐いた。
「冗談言う元気があるなら、自分で歩いてくれる?」
「歩けない……。」
「……しょうがないなぁ〜。我がままな子だね。」
そう言いながらも、ソンフンはどこか楽しそうだった。
そんなソンフンを見て、ジェイクはクスクスと小さく笑う。
ジナもまた、心配な気持ちの中にも、微笑ましさを感じながら二人を見ていた。
ソヌくんって、ソンフンくんに甘えることあるんだ。
ソンフンくんは、私には話し掛けて来ないけど、
みんなとはいつも楽しそうに話すんだよね。
ジナの心には、段々と穏やかな気持ちが取り戻っていた。











編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!