第27話

危険な縄張り
91
2026/08/19 02:18 更新





GPSが示していた場所の近くまで来ると、








「……ここ?」




ジナは足を止めた。








目の前にあったのは、古い工場だった。




周囲には雑草が伸びている。








廃工場……なのかな。








その時、




「ーーっ!」




建物の中から、荒々しい声が聞こえた。








「……っ。」




ジナの体が強張る。








…怖い。








ジナは、その場で立ち尽くしていた。












すると突然、数名が駆けてくる足音が聞こえて、




物陰から、ソヌが飛び出して来るのが見えた。








その後を追うように、他校の男子生徒が一人、姿を現す。








二人は向かい合って、攻防戦が繰り広げられる。








ジナの心臓が、ドクドクと大きな音を立てる。








怖い。




だけど、目を逸らすこともできない。












ガッ!




「あぁっ!!」








ソヌの身体が大きくよろめいた。




そこへ、さらに拳が飛んでくる。








「……っ!」




ジナは思わず目を閉じた。








「うっ……!」




聞こえてきたのは、ソヌの苦しそうな声。








そして、荒々しい足音は遠ざかっていく。












「……。」




恐る恐る目を開ける。








そこには、




地面に倒れたソヌの姿があった。








……ソヌくん……っ!








ダッ




ジナはもう、考えるより先に走り出していた。








怖い。




ここに入ったら危ない。




そんなことは分かっている。








それでも、目の前で倒れているソヌを放っておくことなんてできなかった。












「ソヌくんっ!!!」




側に駆け寄り、その場にしゃがみ込む。








「……ジナちゃん……?」




ソヌが、疲れ切った顔でゆっくりと目を開けた。








「大丈夫!?」




ジナは心配そうにその顔を覗き込む。








「ジナちゃん……逃げて……。」




「でも……!」




ジナは首を横に振る。




「置いていけないよ……!」












その時、








「おい。」




背後から、知らない声が強く響いた。










プリ小説オーディオドラマ