GPSが示していた場所の近くまで来ると、
「……ここ?」
ジナは足を止めた。
目の前にあったのは、古い工場だった。
周囲には雑草が伸びている。
廃工場……なのかな。
その時、
「ーーっ!」
建物の中から、荒々しい声が聞こえた。
「……っ。」
ジナの体が強張る。
…怖い。
ジナは、その場で立ち尽くしていた。
すると突然、数名が駆けてくる足音が聞こえて、
物陰から、ソヌが飛び出して来るのが見えた。
その後を追うように、他校の男子生徒が一人、姿を現す。
二人は向かい合って、攻防戦が繰り広げられる。
ジナの心臓が、ドクドクと大きな音を立てる。
怖い。
だけど、目を逸らすこともできない。
ガッ!
「あぁっ!!」
ソヌの身体が大きくよろめいた。
そこへ、さらに拳が飛んでくる。
「……っ!」
ジナは思わず目を閉じた。
「うっ……!」
聞こえてきたのは、ソヌの苦しそうな声。
そして、荒々しい足音は遠ざかっていく。
「……。」
恐る恐る目を開ける。
そこには、
地面に倒れたソヌの姿があった。
……ソヌくん……っ!
ダッ
ジナはもう、考えるより先に走り出していた。
怖い。
ここに入ったら危ない。
そんなことは分かっている。
それでも、目の前で倒れているソヌを放っておくことなんてできなかった。
「ソヌくんっ!!!」
側に駆け寄り、その場にしゃがみ込む。
「……ジナちゃん……?」
ソヌが、疲れ切った顔でゆっくりと目を開けた。
「大丈夫!?」
ジナは心配そうにその顔を覗き込む。
「ジナちゃん……逃げて……。」
「でも……!」
ジナは首を横に振る。
「置いていけないよ……!」
その時、
「おい。」
背後から、知らない声が強く響いた。











編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!