やってしまった
私はそう思った
五条悟の記憶を覗き処理してしまった
記憶が脳内に流れ込む
幼少期から今までの記憶
学生時代の記憶は見るべきではなかった
全てを知ってしまった
教祖様との約束は決して破っていない
教祖様の記憶は覗いていない
それでも客観的に知ってしまった
葛藤し闇に飲まれた彼の本質を
あんな事が無ければ彼は呪術師を続けていただろう
… こちら側の私が言う事ではないが
でも何にせよ教祖様には救われただろう
違いは呪術師か呪詛師かだけ
神様は居ない 、って薄々気が付いていた
と言うより私自身あまり神を信仰していなかった
でも今日 、この瞬間に知った
" 神様なんて居ない "
あんなに純粋な笑顔で笑っていた青年から
笑顔を奪うなんて 、どうかしてる
記憶の中の爽やかな笑みが忘れられない
こちら側に堕ちたのは教祖様の葛藤の末
でも五条悟と再開した時 、
握った手を掴みたかったのが核心なのではないか
まだ未練があるのではないか
非術師を護っていた過去も
非術師を猿と呼んでいる今も
全てが本当の教祖様だ
私は今しか知らない
過去を知っていたら 、あの場に居たら
私は何か変わったのだろうか
教祖様を純粋な青年のままで留めておけただろうか
教祖様は今と過去どちらが幸せなのだろう
私には少なくとも過去の方が ___
こんな事を言ったら美々子と菜々子は怒るかな
私より多くの 2 人を知っているから
それにあの 2 人に手を差し伸べたあの瞬間
教祖様は決意を決めたのではないか
五条悟の記憶と美々子 ・ 菜々子の記憶
断片的なパーツを組み合わせて見えた知らない教祖様
どうしよう見たい見たい
教祖様の記憶
客観じゃなく主観の記憶
ぐるぐるぐるぐる
頭の中で渦が巻く
沢山の教祖様が見たい
漫画でよくある天使と悪魔の会話
約束は守らないと 、でも知らない教祖様が見たい
結局気持ちが纏まらないまま 12 月 23 日になった
再び集められた家族達
「 向こうも今頃作戦会議ですかね 」
『 そろそろ頃合だね 』
『 あなた学長の記憶覗けるかな ? 』
「 はい 、 」
夏油傑でも教祖様でも ___
私は着いて行っただろうから
何 で も い い か .
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。