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第20話

夏 油 傑 と 教 祖 様
200
2022/10/24 08:00


やってしまった

私はそう思った

五条悟の記憶を覗き処理してしまった

記憶が脳内に流れ込む

幼少期から今までの記憶


学生時代の記憶は見るべきではなかった

全てを知ってしまった

教祖様との約束は決して破っていない

教祖様の記憶は覗いていない



それでも客観的に知ってしまった

葛藤し闇に飲まれた彼の本質を

あんな事が無ければ彼は呪術師を続けていただろう

… こちら側の私が言う事ではないが

でも何にせよ教祖様には救われただろう

違いは呪術師か呪詛師かだけ



神様は居ない 、って薄々気が付いていた

と言うより私自身あまり神を信仰していなかった

でも今日 、この瞬間に知った


" 神様なんて居ない "


あんなに純粋な笑顔で笑っていた青年から

笑顔を奪うなんて 、どうかしてる

記憶の中の爽やかな笑みが忘れられない



こちら側に堕ちたのは教祖様の葛藤の末

でも五条悟と再開した時 、

握った手を掴みたかったのが核心なのではないか

まだ未練があるのではないか


非術師を護っていた過去も

非術師を猿と呼んでいる今も

全てが本当の教祖様だ

私は今しか知らない

過去を知っていたら 、あの場に居たら

私は何か変わったのだろうか

教祖様を純粋な青年のままで留めておけただろうか


教祖様は今と過去どちらが幸せなのだろう

私には少なくとも過去の方が ___

こんな事を言ったら美々子と菜々子は怒るかな

私より多くの 2 人を知っているから

それにあの 2 人に手を差し伸べたあの瞬間

教祖様は決意を決めたのではないか



五条悟の記憶と美々子 ・ 菜々子の記憶

断片的なパーツを組み合わせて見えた知らない教祖様

どうしよう見たい見たい

教祖様の記憶

客観じゃなく主観の記憶



ぐるぐるぐるぐる

頭の中で渦が巻く

沢山の教祖様が見たい

漫画でよくある天使と悪魔の会話

約束は守らないと 、でも知らない教祖様が見たい



結局気持ちが纏まらないまま 12 月 23 日になった

再び集められた家族達


「 向こうも今頃作戦会議ですかね 」


『 そろそろ頃合だね 』

『 あなた学長の記憶覗けるかな ? 』


「 はい 、 」




夏油傑でも教祖様でも ___

私は着いて行っただろうから


何 で も い い か .

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