影山律side
「今日、教育実習で小学生から教えてもらったんだよ」と笑うあなたさん。
学校帰りに商店街を歩いてたら、偶然会った。
あなたさんとは、なぜか結構な頻度でこの商店街で会う。
流れで一緒に帰ることになった。
発音でバレバレじゃん…と言いたくなるが、そのことは黙っておいた。
「律くんにスタンディングオベーションしたいね」と大げさな、よくわからないことを言うあなたさんが可愛らしい。
そう言われて、少し考えた。
首を傾げて、斜め上を見ながら考えポーズをとるあなたさん。
分かってほしい気持ち半分。
分かってほしくない気持ち半分。
買い占めるって…
発想が相変わらず面白いなぁと思いながら、ハズレて笑ってるあなたさんの横顔を見る。
自信満々で言われたけど、全くかけ離れた面白い答えに吹き出してしまう。
「笑うなよ〜」と肩を揺らしてくるあなたさん。
「ごめん、面白くて」と言いつつ、まだ笑いがおさまらない。
鍵閉めるって…面白いなぁ
「難しすぎるよ、ぱぺぱぱぴぷ(かげやまりつ)〜」と笑ってるあなたさん。
そう言って、あなたさんの耳元に寄る。
耳元から顔を離す。
固まったまま、ぶわぁぁと顔が赤くなっていくあなたさん。
真っ赤なまま、「そうやって、またからかって…ズルいよ」と頬を手の甲で冷やしてるあなたさんが、最高に可愛い。
なんて話してるうちに、別れ道に着いた。
手を振って去ろうとすると、「あっそうだ…」と声がした。
振り向くと「あっ!ぱぴぷぴだよって言おうとしたのに…」と焦ってるあなたさん。
予想外すぎて、何も言えなくて。
「じゃあね!律くん」と手を振って歩いて行く後ろ姿が遠くなってから、自分も踏み出した。
家に入ってすぐ、廊下で兄さんとすれ違った。
そんな顔に出てるのか…
部屋に入って、布団にうつ伏せた。
嬉しくて足をバタバタさせてしまう。
また会いたいなと思いながら、少し笑った。
ぱぴぷぺぽゲーム end
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。