俺は、そう言って手洗い場へ行き、サッと手を洗う。
タオルで適当に手のひらを拭き、リビングへ急いだ。
扉を勢いよく開けると同時に、皆んなに向かってそう言った。いや、叫んだ。
がやがやした空気をきっぱりと断ち切るように、
のあさんが大きな声で話しかけた。
どんどんと進むカラフルピーチ会議だが、
じゃぱぱのことが心配すぎて、頭に入ってこない。
結局俺は、会議に参加したものの、ほとんど役に立つことなく、カラフルピーチ会議の終わりを告げた。
どたどたという足音と共に、少し不自然に、
えとさんが急いで帰っていった。
そのことが気になりつつも、俺は、じゃぱぱの
ことを考えていた。
「あ、俺も」
「僕も」
そう言って、皆、ぞろぞろと家を出ていく。
そうして、残ったのがシェアハウスメンバーのみに
なった時。
わたしは、恐怖に陥った。
今、やっと現実を自覚した。
ーーーじゃぱぱさんが、居ない。
帰ってこない。
連絡もつながらない。
会えない。
そう言うと、周りの皆がビクッと反応した。
そんな、わたしたちの会話を断ち切るように、
スマホがピコンっと鳴った。
なんだろうと確認すると、それは、Twitterからの
通知だった。
それは、あの人がツイートするとは信じ難い
文章が並んでいた。
ゆあんくんの言う通りだ。
なんでわざわざTwitterに。
なんでわざわざ炎上させる。
通常の人間じゃない。
こんなの、常識じゃない。
もう、わたしたちにとってのリーダーは、リーダー
になりかけていた。
あんなにお世話になったリーダーのことを、まさか、
たった数回のツイートでこんなにも嫌いになるなんて。
こんなにも、わたしたちの絆は脆かったなんて。
こんなにも、じゃぱぱさんとの信用は薄っぺらかったなんて。
思いもしなかった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!