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第5話

からぴち会議
1,208
2023/04/29 12:34
ゆあん
ゆあん
ただいま…
ひろ
ひろ
あ、おかえり、もう
みんな集まってるよ
ゆあん
ゆあん
あ…まじ?
手ぇ洗ってくるわ…
ひろ
ひろ
リビング居とくよ
ゆあん
ゆあん
俺は、そう言って手洗い場へ行き、サッと手を洗う。


タオルで適当に手のひらを拭き、リビングへ急いだ。
ゆあん
ゆあん
ごめっ、遅れた!
扉を勢いよく開けると同時に、皆んなに向かってそう言った。いや、叫んだ。
のあ
のあ
うい、大丈夫、さっき
集まったばっかやし
ゆあん
ゆあん
あ、まじ
がやがやした空気をきっぱりと断ち切るように、
のあさんが大きな声で話しかけた。
のあ
のあ
はいっ、ではみなさん、
からぴち会議を始めます
のあ
のあ
えっと、じゃぱぱさんが
今…このような行為をして、
大炎上してます……
るな
るな
…なるほど
のあ
のあ
そして、今じゃぱぱさんと、連絡がとれていません。担当の方から聞いたところ、このようなツイートをした犯人は…じゃぱぱさん本人、だそうです……
なおきり
なおきり
えっ!?
どぬく
どぬく
まじか……
のあ
のあ
そして、じゃぱぱさんは
今、どこに居るのかが、
分からないので……
うり
うり
…だからじゃぱさんに
電話掛けても繋がらん
のか……
どんどんと進むカラフルピーチ会議だが、
じゃぱぱのことが心配すぎて、頭に入ってこない。
ゆあん
ゆあん
…じゃぱぱ……
結局俺は、会議に参加したものの、ほとんど役に立つことなく、カラフルピーチ会議の終わりを告げた。
えと
えと
あっ、ごめん、わたし、
そろそろ帰るわ!
どたどたという足音と共に、少し不自然に、
えとさんが急いで帰っていった。


そのことが気になりつつも、俺は、じゃぱぱの
ことを考えていた。
るな
るな
あ、わたしも帰りまーす
すいません、失礼します
のあ
のあ
はーい
「あ、俺も」


「僕も」


そう言って、皆、ぞろぞろと家を出ていく。


そうして、残ったのがシェアハウスメンバーのみに
なった時。


わたしは、恐怖に陥った。


今、やっと現実を自覚した。


ーーーじゃぱぱさんが、居ない。


帰ってこない。


連絡もつながらない。


会えない。
のあ
のあ
会いたい…っ
そう言うと、周りの皆がビクッと反応した。
ゆあん
ゆあん
…だよな……
たっつん
たっつん
…どこ居るんやろ……
そんな、わたしたちの会話を断ち切るように、
スマホがピコンっと鳴った。


なんだろうと確認すると、それは、Twitterからの
通知だった。
たっつん
たっつん
…Twitter…じゃぱぱ…っ!
じゃぱぱが、何かツイートしてる
のあ
のあ
本当!?
なんて…っ!?
たっつん
たっつん
…見てみる……
……!!!
それは、あの人がツイートするとは信じ難い
文章が並んでいた。
じゃぱぱ
じゃぱぱ
『るな気持ち悪い
 なんであいつメンバー
 の中に入れたんやっけ?』
じゃぱぱ
じゃぱぱ
『いや、
 えとさんも嫌いだな、あの
 にくじゃがwww』
じゃぱぱ
じゃぱぱ
『いたいわ、ぶりっ子は』
じゃぱぱ
じゃぱぱ
『るなえとのあw』
じゃぱぱ
じゃぱぱ
『皆の住所晒したろか』
じゃぱぱ
じゃぱぱ
『シェアハウスは東京都〜
何区だと思う?23区内で』
のあ
のあ
…ひ……っ
たっつん
たっつん
…ぁ…
ゆあん
ゆあん
……気持ち悪………
ゆあんくんの言う通りだ。


なんでわざわざTwitterに。


なんでわざわざ炎上させる。


通常の人間じゃない。
こんなの、常識じゃない。


もう、わたしたちにとってのリーダーかっこいい人は、リーダー常識外れの裏切り者
になりかけていた。


あんなにお世話になったリーダーのことを、まさか、
たった数回のツイートでこんなにも嫌いになるなんて。


こんなにも、わたしたちの絆は脆かったなんて。


こんなにも、じゃぱぱさんとの信用は薄っぺらかったなんて。


思いもしなかった。

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