しばらくして何か建物が見えてきた。
博士は車から降りると、私の微妙な反応を見て、口をむっとさせながら、不服そうになった。
力強く手首をグッと引かれる。古い玄関の引き戸を開けると、すぐ、六畳ほどの小さな和室が広がっていた。
やはりタバコの匂いがする、、、。
部屋の角にある机の上に、試験管や怪しい色の液体が
入った丸底フラスコ、注射器なんてものも見つけた。
さらに薬品らしきものも沢山並べてある。
それとバランスボールが机の前に椅子のように置いてあった。
そんな中、
ちんまりと、気持ちよさそうに小さな寝袋に入った、ハツガソライロマメネコが机の上で眠っていた。
すると、機嫌を直した博士は私に、
さらに凄いものを見せましょう!といい、研究所の外に出ていってしまった。
10分ぐらいして、外から博士の何か重たい物を運ぶような辛そうな声が聞こえてきた。
勢いよく足で玄関扉を開けた博士は何やら大きな機械を運んできたようだ。
人が一人ちょうど中に入れそうな大きさの円柱状の機械だった。
側面が透明なアクリル素材のようで、中身は翡翠色の液体で満たされているようだった。
後方にはコードらしきものが何十本も伸びている。
私はこんなものを今までに見たことがなかった。
博士は混乱している私を少しばかり面白がるように笑いながら答えた。
彼は自分の発想があたかも天才的なものだと思っているように、堂々と笑いながらことを詳らかにした。
いっていることは間違いでもない気がするが、
犯罪を犯しておいてここまで堂々とできるのは、
この博士、間違いなく狂っている。
私は被験者の叫び声を思い浮かべたり、
想像と違いすぎる博士を知ってしまったことで、パニックになりここから逃げたいと思った。
私は後退りをし、
そう言い放ち、お辞儀をし、回れ右して、全速力で逃げようとした。その時だった。
博士はとても切ない声色で、
と私を引き留めた。そして止まった私を説得するように言葉を続けた。
いくら怖い人でも、切実な思いを伝えられると、、、。
私はより逃げることが、申し訳なくなってしまった。
私は沢山ぐるぐると頭の中で考えていた。
重い空気が私たちの間にしばらく流れる。
そこで、博士はすかさず私に懇願しだした。
ここまで人に必死で頼まれたことがなかったし、なにより、博士の最後の「ただそばで、支えていてほしい。」という、その言葉に私の心は動かされた。
私は博士に謝って、立派な助手として支えようという決意を改めて伝ようと思った。
私がそう言うと、博士の表情はころりと変わり、とても嬉しそうな笑顔になった。
知らんぷりでもそれって犯罪にならないのかなと思ったが、どうなのだろうか、、、。
にしてもユリカが応援してくれたとき、そしてここにくるまではもの凄くテンションが上がっていたが、着いてから本当に色々不安が重なり、気持ちが落ち着いてしまった。
不安で少々冷たい感じの返事をしてしまった。博士はそんな私をみて、左手をそっと差し出してきた。
気持ちに気づいてくれたのだと分かり私は、少し安心出来た。そして差し出されたさりげなく優しい博士のその手を握り、握手をした。
最初の第一話、二話から長らく投稿出来ていませんでしたが、これからは、こんな感じでちまちまと気まぐれに出していこうと思います。
毎度読んでくださる皆さんのおかげで、書くことを楽しませてもらっております。本当にありがとうございます!
今後ともよろしくお願いします😊












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!