第3話

合縁奇縁(3)
135
2026/01/21 14:26 更新
でも有難いことに、こんなに体は透けているのに服に関しては本当に肌の上に乗っているかのように着ることができる。傍から見れば、ただの女にしか見えない。
今日はトメさんに無理言って休暇を取らせてもらった。なんとなく、今日が最後な気がして。体が気怠く、なんとなく息もしずらい。私は百ちゃんが来るまで店の外で待って、百ちゃんを待つ。今までは店の中で待っていたから、びっくりするだろうなぁ。
尾形百之助(幼少)
……あなた
詩色 あなた
あ、百ちゃん!おはよう
私は何もないように普通に挨拶をする。正直、山に行くまでも体力的に限界だろう。だから、私は初めて百ちゃんに提案をしてみることにした
詩色 あなた
今日は、鳥を狩るんじゃなくて、山の手前にでも座ってお話しない?ダメかな
尾形百之助(幼少)
……わかった
それから私達はいつも山に入っていく入口の手前で止まり、丸太の上に座った。いつもは百ちゃんが鳥をとってからゆっくり話をしていたから、今日は1日百ちゃんと話せると思うとワクワクしてしまう。これも今日で最後だと思うと、悲しい。
詩色 あなた
それでね、トメさんが__
詩色 あなた
百ちゃんはどう思う?
詩色 あなた
百ちゃんは可愛いね
ほとんど私の一人語り。それでも百ちゃんは私の話を聞いてくれる。相槌も打ってくれるし、聞いたら答えてくれる。百ちゃんと一緒にいれないのが、悔しい。
色んな感情が込み上げてきて、私は涙が溢れた。何を話しているかも分からなくなって、ただ百ちゃんが愛おしくて、離れ難くて。
尾形百之助(幼少)
……なに。なんで泣く
明らかに動揺している。なのに私の涙は止まらない。
百ちゃんは不器用ながらも私の涙を拭うと、手を繋いでくれた。でも、どんどん呼吸がカスカスになってくる感覚を覚えた。あー、夕方まで持たないかも。

私は昨晩用意したシロツメクサで作った指輪を百ちゃんに手渡す。百ちゃんは心底不思議そうにそれを受け取る
尾形百之助(幼少)
おい。あなた。おかしいぞ。
詩色 あなた
それ…私の最後のおくりものだから。
百ちゃん、幸せにね。あいしてる
そう言って私は急いでその場を離れる。百ちゃんが後ろから私の名前を呼ぶ声が聞こえるけど、振り返る訳にはいかない。私は急いで山に登って、まだ1度も行ったことがないエリアに急ぐ。

そうしたら、死んだ時に遭難でもしたと思われるだろう。ああ、でもこの肉体は消えそうだな……現にこうして透けてるんだから。

百ちゃんに会いたいな…
そうして、私は意識を失った。
目が覚めると、そこは白い天井だった。
詩色 あなた
え……?
私の体はチューブに繋がれ、傍らには約2年ぶりの母。
まさか、現代に帰ってきたのか?。私は死んでいなかった?一命を取り留めたのか??そんな、ありえない。なら、今までのは夢だったの?百ちゃんは、?
あなた…!!
母が力強く私を抱きしめて実感した。現実だ。
本当に現代に帰ってきた。本当に…
詩色 あなた
今…私何歳…?
17だよ…!あと少しで18になるのよ…良かった、
あと少しで18……。百ちゃんのいる時代に滞在していた期間は約2年。完全に時間軸は合っている。私が昏睡状態だった期間で私は昔の時代に行っていたらしい。そんなうまい話があるのだろうか。でも起こっているのは現実で、百ちゃん達が夢の可能性だってある。
詩色 あなた
心配かけて…ごめんね
私はそう言って、また現代を歩み始めた。
それから私は歴史を必死に勉強した。主に明治時代を。
百ちゃんが気掛かりで、もしあれがただの夢だとしても、どうか幸せでいてほしい。
でも、勉強すればするほど戦争だ。戊辰戦争、西南戦争、日中戦争、日露戦争…。
正直、私がいた時代が何年か分からない。明治時代らへんな事しか分からない。でも、もしこの戦争に巻き込まれてしまっていたら…。
そして私は大学に進学。歴史ばかりを学んで、嗜み程度で英語も少し。全て百ちゃんが気がかりだから。
私の夢には百ちゃんばかり出てくる。あの子に会いたい。また抱きしめたい。
私はそればかり考えて日々を過ごしていた。普通の大学生生活を送っているつもりだが、やっぱり頭の片隅には百ちゃんがいて。でもこんなこと、友達にも言えない。
きっと私は、このまま百ちゃんを恋しいと思いながら生きていくのだろう
合縁奇縁《完》
次から他キャラ出てきて話進みまーす

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