第20話

意義
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2023/07/10 22:58 更新
兄の身体に兄の魂が宿るまで、
何日も、何十日も、何百日も、何千日も、
もっともっと掛かるのに対して、
僕の魂は飽きもせず僕の身体に溶けている。

兄さんと出会える日を待って、
歳をとることもなくのらりくらり、
生きている価値の見い出せない時間に
耐えて、耐えて、耐え続けて、
ようやく顔をちらっと見るだけなんて、
割に合わないと思うんだ。
どこにいるかも分からない兄を、
月日が経って廃れた、この間の教会の近辺で待つ。

一生のうちに僕は、
モンタギュー家の息子だったり、
彼の弟だったり、花屋だったり、
まぁ他にも色々やってきて、
今や大手企業の跡取りだったりする。

人生は何が起こるかわからない、なんて、
きっと僕以外に言える人はいないだろう。

もう両手では数え切れないほどの一生を、
迎えては越えていく。

いつになっても、
ジュリエットであったことを思い出さない兄と、
許されない愛を咎め合うために、
僕は今を彷徨い続けていくのだ。


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