あなたの下の名前side_
目の前で繰り広げられる3人の会話についていけない。
彼女…彼は可愛らしい女の子、という見た目で、
だけれど、声は他の2人よりもずっと低くて。
頭の中がぐちゃぐちゃになる。
やべ。
…なるせさんが一番ガラ悪そう。
さん付けで私の名前を呼ぶあらきさん。
そういうところも含めて一番大人っぽい。
逆にめいちゃん、…さん? は、
元気があって、良い意味で子供っぽい。
「お昼ご飯食べます?」?
"お昼ご飯"?
…お昼?
だんだん思い出してくる。
路地裏にいて、もう死ぬのかなと思っていたところに
彼らが来て…
それで、意識失って…
私の記憶が正しければ、あれは夜だったはず。
夜だから尚更寒くて凍え死にそうだった。
それで今が昼…?
最後の記憶が昨日のことなのか数日前のことなのかも
分からない。
頭の中を見透かされたかのように、
私が疑問に思っていたことに答えるあらきさん。
不思議そうに私の顔を見るあらきさん。
彼に悟られないように、
作り笑顔で「なんでもない」、そう伝える。
「食べれます」、そう言いかけたものの、
言い切る直前で止める。
…そもそも彼らは誰なんだ?
意識を失う直前に、
「俺たちのところ来る?」と言われたことを思い出す。
それで手を差し伸べられて、握り返して、…
もう死んでしまうのかと思っていたところを
助けてくれた。
ご飯も食べるかと聞いてくれて、
3人とも優しくて良い人、そう思いかけていたが、
一応、見知らぬ大人だ。
あまり考えたくもないが、
優しくしておいて後から何かしてくる、
そんなただの誘拐犯かもしれないし。
それに、本当にそのご飯は安全なのだろうか。
毒か何かが盛られている可能性だって、
疑われないよう、顔に笑みを浮かべてそう言う。
私がそう言った瞬間、
それを否定するかのように、ぐう、と、お腹が鳴る。
目を丸くしながらそう言うめいちゃんさん。
信じてくれてたままでよかったのに、なんて思う。
どやっ、という効果音が聞こえてくるのではないか、
そう思ってしまうくらいに
ドヤ顔をしているめいちゃんさん。
無邪気で本当に子供みたいだ。
めいちゃんさんの提案に納得し出したあらきさん。
…なんか色々勝手に話進んでる気が、
そう言って、私の手を握る彼。
ニヤニヤしながらそう言ってくるなるせさん。
さっきまで圧あって怖い人かと思っていたら、
今度は楽しそうに揶揄ってくる彼。
私この人苦手です。











編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。