朝の教室は騒がしい。
昨日の歌番組で新曲を披露したアイドルの話とか
期間限定イベントが始まったソシャゲの話とか
昨日、自殺配信をして垢BANを食らった配信者の話題とか
そんな多種多様な話題を傍らに、私は教科書と高校の参考書を開いた机と向き合う。
寝不足だ、少しでも気を抜くと瞼が落ちてきてしまう。
限界を迎えていたはずの眠気が、
一人の声と共に一気に覚めて消えていく。
女子たちのざわめきの方に視線を動かした。
友人と談笑を始めた彼。
不二周助
それが、あの人の名前。
私の斜め前の、そのまた斜め前の席のクラスメイト。
いつも細められた目
時折長い前髪から覗く青い瞳
細く通っていて目立たない鼻筋
男の声と言われると迷うし、
女の声と言われても低い、そんな絶妙な声
育ちの良さを感じさせる仕草、口調
掴みどころのないようで、みんなに優しい性格
自分を「女」だと自認した者なら、
誰もが一度は憧れる「王子様」
そんな彼に、惹かれない女性などいない。
無論、私もその一人だ。
とは言え、私は友達になろうとか、
あわや恋仲になろうとか、そんな高望みはしていない。
だから、私は彼とその取り巻きを、眺めているだけ。
それで、十分。
いつも通り、朗らかな笑みを浮かべて話を続ける彼を
いつも通り、私はただ一方的に見つめていた。
向日葵の花言葉【 あなたを見つめる 】【 憧れ 】【 崇拝 】











編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。