第2話

向 日 葵
113
2025/03/18 13:59 更新






朝の教室は騒がしい。

昨日の歌番組で新曲を披露したアイドルの話とか
期間限定イベントが始まったソシャゲの話とか

昨日、自殺配信をして垢BANを食らった配信者の話題とか

そんな多種多様な話題を傍らに、私は教科書と高校の参考書を開いた机と向き合う。

寝不足だ、少しでも気を抜くと瞼が落ちてきてしまう。


︎︎
おはよう。



限界を迎えていたはずの眠気が、
一人の声と共に一気に覚めて消えていく。
 
女子たちのざわめきの方に視線を動かした。

 菊 丸 英 二 .
あっ、不二!おっはよーん!
ねね、昨日のチョコレーツの新曲披露見た〜??

 不 二 周 助 .
チョコレーツ、出てたよね。
「英二が喜んでるだろうな」って思いながら見ていたよ。



友人と談笑を始めた彼。


不二周助

それが、あの人の名前。

私の斜め前の、そのまた斜め前の席のクラスメイト。

いつも細められた目
時折長い前髪から覗く青い瞳
細く通っていて目立たない鼻筋
男の声と言われると迷うし、
女の声と言われても低い、そんな絶妙な声
育ちの良さを感じさせる仕草、口調
掴みどころのないようで、みんなに優しい性格

自分を「女」だと自認した者なら、
誰もが一度は憧れる「王子様」



そんな彼に、惹かれない女性などいない。



無論、私もその一人だ。

とは言え、私は友達になろうとか、
あわや恋仲になろうとか、そんな高望みはしていない。

だから、私は彼とその取り巻きを、眺めているだけ。


それで、十分。

いつも通り、朗らかな笑みを浮かべて話を続ける彼を
いつも通り、私はただ一方的に見つめていた。

向日葵の花言葉【 あなたを見つめる 】【 憧れ 】【 崇拝 】

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