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第1話

81
2026/03/14 14:23 更新
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北村 美月きたむら  みつきさん、好きです。
付き合ってくれませんか?







今、私は入学式からイケメンだと注目されている1年生に告白されている。
 
美月
美月
…どんな所を好きになってくれたの?
告白してきてくれた人に、絶対する質問。

すると相手は困ったように微笑みながら答える。
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俺の内面を褒めてくれて、誰に対しても優しい
────そんな所に惹かれました
 
この人のモテる理由が、よくわかる。

今まで、身体目的だったり重い人間だって舌打ちされることの方が多かった。


だけど、
美月
美月
ありがとう、嬉しい。
でもごめんなさい。
きっとこの人は、私と違って素で好かれる人間。
こういう人と居ても、落ち着かないから疲れるんだよね。
私の心は一切満たされない。
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…分かってました。先輩が俺の事なんか見てないって。でも俺、諦めませんから!
美月
美月
何を言われようとこの人で心が揺さぶられることはない。

だが、こんなに自分を好いてくれる人は久しぶりだ。
美月
美月
うん。期待してるね
それだけ伝えて、走りながら"ある場所"へと向かった。
 
 
私には誰にも言えない秘密があった。
 
パパ
やっと来たか!
美月
美月
おまたせしちゃってごめんね『パパ』。
パパ
大丈夫だよ!じゃあすぐに行こう!
所謂『パパ活』というやつ。

誰にどんな事をされても満たされない代わりに、気持ち悪いとも思わないから、丁度いいお小遣い稼ぎ。

ご飯を一緒に食べるだけでバイトなんかよりもずっと時給のいいお金が手に入るし、少し遠い場所に行けば知り合いに会うことだってない。

多少のリスクはあるが、どちらにせよ生活にも困っていたので辞めることも難しかった。
美月
美月
はぁ、やっと終わった…
今回の相手は少し強引な人で、中々帰してもらえなかった。
少しフラつきながらも、何とか駅まで向かう。
美月
美月
私も愛せる人を見つけたい…
結局、いつも寂しい気持ちだけが残る。

独りになった瞬間、その気持ちがより一層強くなる。

今まで何となく気遣って人と関わって生きてきた。

これからも、そんな人生を歩むんだろうな、なんてネガティブになっていた。


その時だった。
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うっ…ぐすっ……
美月
美月
どこからか声が聞こえる。
小さな女の子の、それも泣き声。

何かあったのだろうと思い、すぐさま探そうと耳を傾ける。


















見つかったのは案外すぐで、着いた先は路地裏。
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ぐすっ……
美月
美月
えっと…大丈夫?
思わず出た言葉。
小さい子の相手なんて、する機会ないし…
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たすけて…お父さんもお母さんも、
もう誰もっ…
嗚咽気味に彼女は言った。
その時、突如として起きた。
 
私の中になにかが芽生えた。
 
今私が助けないと、この子は死んでしまうかもしれない
この子には私しか頼れる人がいなくて、私がこの子の人生を握ってるんだ。
そう思った瞬間、嬉しくてしょうがなかった。
 
そしてついでに気づいた。
その人は私以外にも必要としてる人が少なからずいる。だから満たされなかったんだ。
美月
美月
いいよ、おいで
彼女はこくりと頷くと、涙を流しながらも私についてきた。

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