第30話

…あんたに、拒否権なんてあると思ってんの?
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2025/06/22 11:00 更新
激闘の末に掴んだ勝利の余韻は、ロッカールームを心地よい熱気で満たしていた。選手たちは互いの健闘を称え合い、その中心には、はにかみながらも誇らしげなあなたの姿があった。
菅原
菅原
いやー、今日の月島は神がかってたな!どうしたんだよ、急に!
田中
田中
ホントホント!なんかゾーンに入ってた感じ?
月島
月島
…別に。ちょっと、目の前にニンジンをぶら下げられただけなんで
月島はそう言うと、意味ありげにあなたの方を見て、にやりと笑った。あなたは、彼のその視線に気づき、カッと顔を赤らめてそっぽを向く。
日向
日向
ニンジン?なんだそれ?
田中
田中
ははーん、さてはあなたちゃんのご褒美だなー!役得だな、月島コノヤロー!
あなた
あなたたち、くだらないこと言ってないで、早く着替えなさいな!汗臭いですわよ!
彼女はいつものように言い返すが、その声は少しだけ上ずっていた。
その日の帰り道。部員たちのほとんどが先に帰り、あなたが部室の鍵を閉めようとしていると、待ち構えていたかのように月島が姿を現した。夕闇が迫る放課後の校舎には、二人以外に人影はない。
あなた
…あら、月島くん。まだ残っていらしたの?
月島
月島
当たり前でしょ。約束、忘れたなんて言わせないよ
月島はゆっくりと彼女に近づくと、その逃げ場を塞ぐように、壁際に追い詰めた。トン、と彼の手が壁につかれ、あなたは完全に閉じ込められてしまう。
月島
月島
…で?約束、覚えてるよね?あんたのその『顔』、独り占めさせてくれるって話
彼の低い声が、静かな廊下に響く。あなたの心臓が、ドクンと大きく鳴った。彼女は顔を真っ赤にして、必死に抵抗の言葉を探す。
あなた
わ、わたくし、そのような約束はしておりませんわ…!あれは、試合中の勢いで…!
月島
月島
へえ。しらばっくれるんだ
月島は、そんな彼女の反応を心底面白そうに眺めると、彼女の顎にそっと指をかけた。冷たい彼の指の感触に、あなたの体がびくりと震える。
月島
月島
でも、あんたのその顔、正直だよね。僕にそんな顔させられて、本当はどう思ってんの?
あなた
は、離してくださいまし…!誰かに見られたら…!
月島
月島
見られたら?困るの?なんで?
彼は、まるで幼い子供を諭すかのように、ゆっくりと、しかし有無を言わせぬ口調で彼女の耳元に唇を寄せた。

月島
月島
…あんたに、拒否権なんてあると思ってんの?
その支配的な言葉に、あなたの思考は完全に停止した。そうだ、この人には逆らえない。あの部室での出来事以来、自分はもう、彼のものなのだと、そんな背徳的な考えが頭をよぎる。恐怖を感じるはずなのに、体の奥がじんわりと熱くなっていくのが分かった。彼に支配されることへの屈辱と、どこかでそれを望んでしまっている自分への嫌悪、そして抗いがたい興奮が、彼女の中で渦巻いていた。
月島は、彼女の抵抗が弱まったのを見て、満足げに微笑んだ。

月島
月島
…いい子だね。じゃあ、まずはご褒美の第一弾
あなた
ご、ご褒美…?
月島
月島
そう。…次の試合で僕が活躍したら、あんたの『声』、聞かせてよ。
月島
月島
僕のためだけの、ね。誰もいない部室で、二人きりでさ
彼の言葉が描く情景に、あなたの顔がさらに赤く染まる。そんな彼女の様子を見て、月島はさらに楽しそうに目を細めた。彼はあなたの髪を一房すくい取ると、その香りを確かめるように、ゆっくりと鼻を寄せる。そして、彼女の耳たぶを、まるで躾けるように、ちゅ、と小さく吸い上げた。
あなた
ひっ…!
小さな悲鳴と共に、あなたの全身に電気が走ったような衝撃が突き抜ける。もう、まともな思考はできなかった。
月島
月島
じゃあ、また明日、女王様。楽しみにしてるから
満足げにそう言い残すと、月島はあっさりと彼女から離れ、先に去って行った。
一人残されたあなたは、その場に崩れ落ちそうになるのを必死に堪え、火照った頬と、彼の感触が残る耳を両手で押さえた。
あなた
(わたくし、一体どうなってしまうのかしら…)

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