第47話

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2026/03/21 12:00 更新




あなた
ヒュースくん、今日はね、チョコチップクッキーとマドレーヌ!
ヒュース
チョコチップ?
あなた
この前、チョコ味がいいって言ってたから!





差し出される包みに、ヒュースは一瞬だけ目を瞬かせて、少しだけ照れくさそうに目線を逸らした。




ヒュース
……覚えていたのか
あなた
もちろんだよ!





そのやり取りを……


ちょうど廊下を歩いてきた迅が、角から見てしまった。




……





その目が、ほんの一瞬だけ凍りつく。


いつもなら“微笑ましい”で済ませるところだが、今日に限っては、どうにも胸の奥がムズムズする。


あれだけ自分の前では恥ずかしがるくせに、ヒュースの前だとあんなに自然に笑ってる……




(───なにそれ)




 



……ヒュース





静かに、しかし低めの声で名前を呼ぶ。




ヒュース
……何の用だ
最近、あなたに懐きすぎじゃない?





ヒュースは、眉をひそめる。




ヒュース
懐く?意味がわからん。
いやぁ〜…おれから見たらけっこう懐いてるよ?
あなたが好きなのか?って思っちゃうくらいさ。





軽く茶化すように言ったが、声のトーンはいつもより僅かに尖っていた。


ヒュースの目が細くなる。




ヒュース
くだらない。俺はあなたに恋愛感情など抱いていない。
ヒュース
あの人は、俺のことを子供扱いしない数少ない大人だ。
……へぇ





迅は口角を上げて笑ったが、笑顔の裏に、明らかに複雑な空気が漂っていた。




じゃあさ、なんでお菓子なんて貰ってるんだろうねぇ?
ヒュース
……?もらって困る理由があるのか?





空気がぴたりと張り詰めた。


ヒュースの鋭い視線と、迅のにこやかな目が交差する。


見ているだけで、背筋がぞくりとするような緊張感。




烏丸
……はぁ……変なもの見たな





廊下の向こうで立ち止まっていた烏丸が、顔を引きつらせて小さく呟く。


ふたりの会話を最後まで見届ける勇気はなく、烏丸はそっとその場をスルーした……




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