差し出される包みに、ヒュースは一瞬だけ目を瞬かせて、少しだけ照れくさそうに目線を逸らした。
そのやり取りを……
ちょうど廊下を歩いてきた迅が、角から見てしまった。
その目が、ほんの一瞬だけ凍りつく。
いつもなら“微笑ましい”で済ませるところだが、今日に限っては、どうにも胸の奥がムズムズする。
あれだけ自分の前では恥ずかしがるくせに、ヒュースの前だとあんなに自然に笑ってる……
静かに、しかし低めの声で名前を呼ぶ。
ヒュースは、眉をひそめる。
軽く茶化すように言ったが、声のトーンはいつもより僅かに尖っていた。
ヒュースの目が細くなる。
迅は口角を上げて笑ったが、笑顔の裏に、明らかに複雑な空気が漂っていた。
空気がぴたりと張り詰めた。
ヒュースの鋭い視線と、迅のにこやかな目が交差する。
見ているだけで、背筋がぞくりとするような緊張感。
廊下の向こうで立ち止まっていた烏丸が、顔を引きつらせて小さく呟く。
ふたりの会話を最後まで見届ける勇気はなく、烏丸はそっとその場をスルーした……













編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。