剣閃と共に、舞う。
鬼の腕も体も
全てが水に飲まれるように
砕けていた。
返ってきたのは、
薄くそらした視線と
ほんの少し緩んだ口元。
その表情だけで、私は
心が満たされているのかもしれない。
── 翌日
何故か私は、
察しが付いてしまった。
師範と共に着いていくと、
ひっそりした小料理屋。
香ばしい、出汁の香りが
ふわりと漂っている。
師範が笑うくらい
好物の鮭大根が美味しいのだろうな
普段の稽古では、
中々見れない師範の表情。
きっと、師範にとっては
特別で宝物なんだろう。
私にとっても今日という日が
特別になるだろう。
end














編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。