優しくそう言ってくれる学園長先生に感謝しながらも、静かに立ち上がる。
ゆっくり、近くに座っているシナ先生に近づく。
…我慢できずに、思わず走りだす。
思い切りシナ先生に抱きつく。
…私はやはり、この人が大好きだ。
抱きしめられると、安心できる。
本当に、嬉しいんだ。
シナ先生のその言葉に、全員が静かに涙を流す。
…やはり、この学園は、我々の居場所だ。
実家のような安心感がある。
文次郎の言葉でシナ先生から離れる。
お互いに目を見合って、軽く微笑んで。
小さく挨拶をする。
後ろからは泣いたり鼻を啜る音が聞こえた。
ごめんなさい。…また、会えたら。
そう思いながらも、部屋の障子をしめた。
その後全員で向かったのは自分達が使っていた長屋の部屋。
いまだに綺麗なままだ。
先生方がやってくれたのだろうか。
本当にあの人達には感謝しかない。
私が笑顔でそう伝えるも、周りも段々と笑顔になる。
…私達は、これくらいで良いんだ。
留三郎が持ってきた酒を広げながら、同窓会が始まった。
あれからしばらく経ち、皆にも程よく酒が回っていた。
特に伊作が顔を真っ赤にして話すものだから留三郎が同室馬鹿を発揮していた。
これ、まだ続いてたのか。
____何を言っているんだ。
呆れながらそう言う仙蔵を横目に何杯目かもわからない酒を口に運ぶ。
…この人達は、本当に。
___私にも、酒が回っていたのかもしれない。
思わずそんな事を口走ってしまった。
周りの動きがピタッと止まる。
……やってしまったな。
思い出したかのように、首が赤くなっている文次郎が言う。
すると小平太が嗚呼!!と大きな声を出して懐から何かを取り出した。
____結婚してくれと
そういえば、そんな事も言われたな。
そんな事を考えながらも軽い返事をする。
すると小平太が何かを差し出してくる。
そう言う小平太の手の上には___
小さな指輪が光っていた。
おどろきながらもそう告げると、長次が代わりに答えてくれる。
ばれていたのか。
そんな事を考えながら確かにと答え、指輪を自分の指にはめる。
……本当に、綺麗だ。
当たり前だろう。
そんな返事が帰ってきて、思わず照れたのは内緒の話。
その日私達は、一晩中飲み明かした。
いつの間に眠っていたのか、目が覚めた。
まだ外は暗く、皆んな寝ている。
………少しだけ可哀想だけど。
素早く服を着替えて、部屋の障子を開ける。
そう言って、最後に全員の顔を見渡してから部屋をでる。
……同窓会も、悪くはないな。
そう、密かに思えた。





















編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。