you side
そして放課後、みんぎゅと一緒に教室を出て、図書館に向かった。
図書館まで歩いている時、みんぎゅからそう聞かれた。
そう尋ねると、彼は慌てて視線を泳がせた。
また彼はおどおどしている。ほんと、表情がコロコロと変わって、見ていて面白い。
みんぎゅは、打ち解けるとすごく話しやすくて、反応が面白くて、表情豊かで。一緒にいてすごく楽しい。
そう思いながら歩いていると、いつのまにか図書館に着いていた。
ただ何も考えずに、図書館へ入ってみると、私の足はその場で止まった。
私の視線の先には、彼がいたのだ。
入学式の時に隣だった、私が一目惚れした相手。
思わず小さな声で、彼の名前を呟いてしまった。
どうして彼がここにいるのだろうか。
もしかして、彼も図書委員なのか。
私は、みんぎゅの声で我に返った。
そう笑って答えた。
私は中に入り、みんぎゅと一緒に席に座った。
横を向いてみると、みんぎゅは隣に座った男の子と話している。
そして、私は少し離れたところに座る彼を見た。
ちょんうぉぬ、彼の隣には同じクラスの図書委員の子だろうか、1人の女の子が座っている。
2人はお喋りしていて、偶に2人で楽しそうに笑っていた。
彼はあんな風に笑うんだ。
笑顔を見れたことは嬉しいが、女の子と楽しそうにお喋りしている様子を見ると、少し胸がモヤモヤする。
その時、彼がこっちを見た。
彼と目があった。
一瞬。ほんの一瞬だったが、彼と目があっただけで、ドキドキした。
そして私は、赤くなった顔を隠すように俯いた。
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。