第56話

No.53 ふたり
587
2025/03/20 15:00 更新
sideきょも





朝目を覚ますと北斗からのLINEがあった




『音楽室で待ってる』だって





今日はどうせ冬休みも明けて学校だし、いつもと変わんないや





変わるのは、歌えないことくらい




憂鬱な気持ちで学校へと足を運んだ
京本大我
京本大我
っ、、
松村北斗
松村北斗
大我、!
学校へ行く途中なのに駅の前で北斗にあった




電車乗れないんだからわざわざきてくれたんだよね?
京本大我
京本大我
ありがと、きてくれたんだよね?
松村北斗
松村北斗
全然通りすがっただけだよ
学校へ向かう途中、俺も北斗も喋ろうとはしなかった




代わりに北斗の瞳は潤んでいて、俺のカバンは握りしめた部分にシワがついていた
京本大我
京本大我
屋上、行かない?音楽室行っても楽しくないし
松村北斗
松村北斗
うん、
楽しくないっていうか、辛くなるが正しいかな




こんなこと誰にも言わないけどね
松村北斗
松村北斗
綺麗、、
空は少し曇っているけれど北斗には綺麗に見えるみたい




不思議だよね、ほんと




ほんの一瞬だけ、




このまま落ちてふたりで死ねば幸せなんじゃないかとか思っちゃった




北斗を巻き込もうとしてる時点で最低だけど
松村北斗
松村北斗
ね、多分おんなじこと思ったよね
京本大我
京本大我
落ちたら…ってこと?
松村北斗
松村北斗
やっぱり
どうやら北斗も同じこと考えてたみたい





ただ、俺は死にたいとかじゃなくて




楽になりたいだけ




普通に友達作って普通に勉強して普通になりたかった




普通に人と関わりたかった





普通ができないから、できるような人生にするためにリセットしたいだけ
松村北斗
松村北斗
はい、
そう言って北斗が差し出してきたのはワイヤレスイヤホンの右耳用だった
京本大我
京本大我
ありがと、?
耳にはめると、音楽が流れ出した




最初は、『音色』




『グランドエスケープ』も『ヨルシカ』も『マスカラ』も




2人で歌った曲が次々と流れていく




歌いたい、ただそう思った
京本大我
京本大我
…っ、、
声が、出ない




だめだ、本当にだめなんだ
松村北斗
松村北斗
大我、、俺ピアノ弾けなくなっちゃった
京本大我
京本大我
え、、?
北斗も音楽できなくなっちゃったってこと?
松村北斗
松村北斗
弾こうと思うと指が震えて、鍵盤から滑り落ちてるの
京本大我
京本大我
俺も、歌おうとすると喉がぎゅーっとして声が出なくなる
最後に流れてきたのは、『ふたり』





出会ったきっかけも、うつ病の北斗を助けられたのもこの曲だったよね





この曲を歌いたい、北斗と





でもできない、
京本大我
京本大我
あっ、、
下を向いた拍子にいつも使っているマイクが屋上から落ちた



北斗のほうを向くと、
松村北斗
松村北斗
っ、、わ
焦って下に降りて取りに行こうとしてる
京本大我
京本大我
北斗の楽譜!
北斗の楽譜も風に煽られて地面に落ちていた




取りに行かないと、そう思った



ーガシャン




フェンスに捕まって降りようとしたそのとき
田中樹
田中樹
おま、バカッ!!!!
京本大我
京本大我
わっ!?
髙地優吾
髙地優吾
北斗なにしてんだよ!?
松村北斗
松村北斗
っ!?
いきなり樹に抱き寄せられてフェンスから転がり落ちる



北斗もこーちに降ろされてた
京本大我
京本大我
じゅ、樹??
田中樹
田中樹
俺らがいるんだから辛い時は相談しろよ!
松村北斗
松村北斗
ゆごにい、なんで、、
髙地優吾
髙地優吾
歩いてたらお前らが屋上いるの見えたから
松村北斗
松村北斗
授業は、、
髙地優吾
髙地優吾
北斗と大我が心配だったんだよ!!
髙地優吾
髙地優吾
バカかお前らは!!
京本大我
京本大我
だって!!
田中樹
田中樹
死のうとしてんじゃねえよ!!
森本慎太郎
森本慎太郎
きょも!北斗!
ジェシー
ジェシー
ほくちゃん!大我!無事!?
松村北斗
松村北斗
うん、大丈夫だよ?
田中樹
田中樹
俺は6人で歌うのが好きなんだよ、
田中樹
田中樹
2人の歌が、ふたりの音色が俺は1番好きなんだよ
おれらの、音色





そうだよ




何死のうとしてんの、おれ





楽譜取る、マイク取るって口実作って死のうとしてただけじゃん





ばかだなぁ、ほんと笑
京本大我
京本大我
ふふ、ポロッ
田中樹
田中樹
え?きょも大丈夫!?
髙地優吾
髙地優吾
笑いながら泣くなよ怖いから
松村北斗
松村北斗
ギュ
北斗が割れ物に触るように慎重に、そっと抱きしめてきた時





水風船が爆発したみたいに涙が溢れて止まらなくなった
松村北斗
松村北斗
グスッ
京本大我
京本大我
っ、泣
ふたりで抱きしめあって散々泣いてると
田中樹
田中樹
ギュ
最初は樹が
ジェシー
ジェシー
ギュ
次はジェシーが
髙地優吾
髙地優吾
ギュ
森本慎太郎
森本慎太郎
ギュ
こーちが、慎太郎が



俺たちを抱きしめて温もりで満たしていく
京本大我
京本大我
あったかいね、ポロポロ
俺って生きてるんだね、

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