一年間続いた古い記憶シリーズもついに最終回です。
今まで伏線とか結構敷いてたけど、最後ぐらいまったりした感じで過ごそうぜ!
『――お前、何しにここへやってきたのよ』
「あんまりだな。エキドナの弟子に気付かれず『扉渡り』を破るの、結構大変なんだよ?」
『お前の苦労話なんて聞いちゃいないかしら。とっとと質問に答えるのよ。そんな格好で、大きい袋まで持って······』
「わかったよ。時にベアトリス、今日が何の日か知ってる?」
『はぁ? 特に何もないただの一日のはずかしら』
「いいや、違う。今日はクリスマスなんだよ。メリークリスマス、ベアトリス」
『めりーくりすます······? どういう意味なのよ』
「クリスマスっていうのは祝日の名前。クリスマスの日には朝昼晩必ずこの挨拶をしないといけないんだ」
『······なんだか、妙ちくりんな日かしら』
「俺の格好だけど、これはサンタさんっていう人が着る服でさ。良い子にはプレゼントを、悪い子には······」
『な、何をそんなに震えているのよ。お前らしくないかしら』
「これから話す内容を考えたら当然だよ。サンタさんは悪い子に対してはトリックオアトリートって言うんだ。そうなったらサンタさんにお菓子をあげないといけない。もしあげなかったら――」
『あげなかったら?』
「この袋に入れられて鬼ヶ島っていうところに連れていかれる」
『――――』
「どう? 怖いでしょ?」
『べ、べべべつに怖がっちゃいないのよ! ただちょっぴり体がブルッとしただけかしら!』
「強がらなくていいのに。でもベアトリスは良い子だから、ヴィシュヌサンタからプレゼントをあげよう。まず一個目」
『ティーカップにポット······これがプレゼントなのよ?』
「エキドナが使ってたものだよ」
『――ぁ』
「ベアトリスにって預けられててね。ちゃんと渡せて、よかった」
『――――』
「······色々思うところはあるだろうけど、二つ目。はい、これ」
『本? お母様が遺した知識の全てがある禁書庫の司書、大精霊ベアトリスによく今さら持ってこれたものかしら』
「でも、クリスマスのことは知らなかったでしょ?」
『う······』
「この本、クリスマスについて俺なりにまとめてみたんだ。魔人直筆の本なんてこの世に二つとないから貴重だと思うよ」
『サンタは世界中の暖炉を『扉渡り』のように繋いでいる、サンタの相棒は鼻が真っ赤な空飛ぶ地竜、クリスマスは嘘をついてもいい日······本気で言っているのよ?』
「俺も人伝に聞いただけだから疑問は受け付けられないな」
『お前にクリスマスを教えたやつ、何者なのかしら······』
「――じゃあ、俺はそろそろ行くよ」
『え? まだ、来たばっかり······』
「長居してられないんだ。世界が、俺を待ってるからね」
『本当に、わけのわからん奴かしら』
「ああ、魔人だからね。――ベティー、良い夢を」
『ふん。次会ったときには、ベティーの見事な紅茶の腕前を披露してやるのよ』
四百年前、大精霊ととある人物とのやり取り。
この後スバルはベアトリスの四百年の誤解を解くのにだいぶ苦労した。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。