第6話

夜空の下で
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2022/03/01 11:14 更新
結局、私は澄先生に仕える位の高い女官&馬の世話係という名目で連れて行ってもらっている。
環 羽麗
環 羽麗
……都では怪しまれぬように、"水芭"と呼ぶ。くれぐれもあの屋敷で過ごした事や、陛下の邪魔にはなるな。分かったな?
賢木 水芭
賢木 水芭
分かりました、羽麗さん
さん呼びが不服なのか少し眉を寄せる羽麗を気にせず、水芭は澄の馬の手入れをしている。とても可愛らしい、まるで黄金のようなうすい茶色の馬。栗毛という美しい毛の色に癒されている。
この栗毛の馬は澄がこの世界で乗り続けた馬で、名前は『かん』。理由は陛下が澄を見て、『澄は寛大な心を持っているんだね』と話した一言から名付けられていた。
賢木 水芭
賢木 水芭
寛〜!よしよし、今日もカッコイイよ〜
ちなみに寛は男の子……牡馬である。
環 羽麗
環 羽麗
寛は……時雨様と出会って変わった。生き生きとしているんだ、ありがとな
羽麗さんはどこか恥ずかしそうにそっぽ向きながら、話していた。寛は訳ありだったのだろうか。
賢木 水芭
賢木 水芭
いえ……
寛について話を聞こうと身体ごと振り返ると、羽麗さんは歩き始めており段々姿が見えなくなった。
賢木 水芭
賢木 水芭
歩くの早っ
寛は額に白い点がある。それがまた可愛らしい。
寛の顔を眺めていると、後ろから落ち着く声が聞こえて来た。振り返ると予想通りに澄先生が居る。
時雨 澄
時雨 澄
賢…水芭。寛の手入れ、ご苦労である
賢木 水芭
賢木 水芭
いえ、当然のことでございます
外のため、最大限に警戒しながら礼をする。
礼をした後に澄先生の顔を見ると、とても優しい目をしていた。寛に手を伸ばし撫でていると、寛は澄先生に顔を擦りつけていた。
時雨 澄
時雨 澄
夜なのに、元気だな……寛は(笑)
賢木 水芭
賢木 水芭
えぇ、今すぐにでも走れるかのようです
時雨 澄
時雨 澄
…寛に異常があれば直ちに報告を頼む
賢木 水芭
賢木 水芭
分かりました。早期発見、早期治療…ですね!
時雨 澄
時雨 澄
あぁ、習ったことを忘れてないんだな
賢木 水芭
賢木 水芭
はい!先生…じゃなくて、時雨様のお言葉は決して忘れません
これがどういう意味で澄先生に伝わったのか分からないが、明るく元気に話す。
時雨 澄
時雨 澄
いよいよ、だな
ふと、静かに澄先生は言った。
賢木 水芭
賢木 水芭
はい…。正直に言うと時雨様のことが少し心配です…
私は視線を下げながら、小さめの声で話す。
時雨 澄
時雨 澄
大丈夫。元のあの世界に戻れないんなら、ここで生きるしかないんだよね💧
寛を撫でながら、夜空を見上げながら澄先生は続ける。
時雨 澄
時雨 澄
水芭、今を生きないと。今俺達が居る場所は、あの日常とは違う。危険すぎるくらい。だからこそ、先に言っておくことがある…
澄先生は夜空から視線を私に戻し、真剣に見つめる。
時雨 澄
時雨 澄
万が一、俺が死んでも力強く生きて欲しい。間違っても何があっても自分から命を捨てるようなことだけはしないでね…
賢木 水芭
賢木 水芭
…必ず生きてみせます
私も真剣に澄先生を見つめる。
賢木 水芭
賢木 水芭
でも、時雨様を死なせません
私の一言を聞くと軽く笑いながら澄先生は口を開いた。
時雨 澄
時雨 澄
頼もしいな……!










もう気温も下がるから、宿に戻ろう。という澄先生に続いて宿に戻ると、羽麗さんと陛下が真剣な顔で話をしていた。
青 明瞭
青 明瞭
丁度いいところに来たね…澄、水芭
環 羽麗
環 羽麗
少し…面倒なことがありまして……

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