結局、私は澄先生に仕える位の高い女官&馬の世話係という名目で連れて行ってもらっている。
さん呼びが不服なのか少し眉を寄せる羽麗を気にせず、水芭は澄の馬の手入れをしている。とても可愛らしい、まるで黄金のようなうすい茶色の馬。栗毛という美しい毛の色に癒されている。
この栗毛の馬は澄がこの世界で乗り続けた馬で、名前は『寛』。理由は陛下が澄を見て、『澄は寛大な心を持っているんだね』と話した一言から名付けられていた。
ちなみに寛は男の子……牡馬である。
羽麗さんはどこか恥ずかしそうにそっぽ向きながら、話していた。寛は訳ありだったのだろうか。
寛について話を聞こうと身体ごと振り返ると、羽麗さんは歩き始めており段々姿が見えなくなった。
寛は額に白い点がある。それがまた可愛らしい。
寛の顔を眺めていると、後ろから落ち着く声が聞こえて来た。振り返ると予想通りに澄先生が居る。
外のため、最大限に警戒しながら礼をする。
礼をした後に澄先生の顔を見ると、とても優しい目をしていた。寛に手を伸ばし撫でていると、寛は澄先生に顔を擦りつけていた。
これがどういう意味で澄先生に伝わったのか分からないが、明るく元気に話す。
ふと、静かに澄先生は言った。
私は視線を下げながら、小さめの声で話す。
寛を撫でながら、夜空を見上げながら澄先生は続ける。
澄先生は夜空から視線を私に戻し、真剣に見つめる。
私も真剣に澄先生を見つめる。
私の一言を聞くと軽く笑いながら澄先生は口を開いた。
もう気温も下がるから、宿に戻ろう。という澄先生に続いて宿に戻ると、羽麗さんと陛下が真剣な顔で話をしていた。
















編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。