休み明け、僕は最っ高に幸せな気分だった。
そこに佐藤さんがやってくる。
通りすがりに誘拐された。←
連れてこられた場所は、休憩スペース。
朝だからか、人はいない。
僕は椅子に座らされ、佐藤さんは反対側に。
僕はちゃんと、あなたさんの彼氏だ。
性行為もろもろ、権利は僕にある。
席を立った佐藤さんは、エレベーターへと向かった。
あまりにも話がトントンと進みすぎて、訳が分からなくなってくる。
話を聞いたあと、なにかするつもり?
それとも僕に託した、っていう意味?
どれだけ考えても、答えは見つからなかった。
佐藤さんはその日、会社に戻ってくることはなく、直帰という形になっていた。
そしていつもは7時くらいまで仕事をしているあなたさんも、今日は珍しく定時であがった。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。