そう先輩から誘いを受けたのは、
編集とかのタスクも諸々終わって
さてそろそろ帰りますか、とのびーっとしてた時。
じゃあ一旦帰って9時からのナイトショーで、って
とんとん拍子に話は進んで。
私は5分前に着いてるのに 先輩はまだ来ないことも
イライラなんてしないし、てかあの人はそういう人。
早めに出て家に迎えに来てくれたりだとか
集合5分前に到着してて それでも『 今来たとこ 』って
気遣って言ってくれるようなスマートな人でもなくて。
思いっきり遅刻してきたことをいじりあったりできる
スマートとはまた違う意味でいい先輩。
なんだかんだ私はこっちの方が好きだったりする。
そんな感じでまた小突きあいながらソファーに座って、
空コップを抑えてもらい カップをゆっくりと傾ける
ぐいっとカップを傾けた瞬間、びしゃあ、と勢いよく
逆に見事なくらいに 盛大にコーラがぶちまけられた。
結局1人分でちょうどいいくらいになったコーラを
次はゆっくり、ふたりで半分ずつ分けて
「 これじゃ逆に足りないよ ! 」って笑い合うのも
もう全部楽しくて。
でも あとで言いふらされて 笑われそうだから
絶対にこの人の隣で泣きたくないな、って思って
クライマックス中はずっと 唇を噛み締めてた。
なんとなくだけど 乾さんはすぐ出ていく派だろうから
エンドロールも見たいんですけど、と言おうと
隣を見ると、暗闇の中で ばちっと目と目が合った。
え、そうなんですか、と 本音の驚きが口をつく。
流れゆく文字列を見つめながらふと思う。
物事にはいつか終わりが来る。
出会った人には別れが来る。
それはエンドロールのように、
悲しむ間を与えてくれるほど優しいものじゃない。
いつか 影みたいに消えてしまいそうに笑うこの人と、
これからも小突きあえるような
そんな ちょうどいい関係 でいられますように、と
暗闇の中で ちいさく祈りを込めた。
お互いに熱が冷めなくて、オタク特有の早口で
感想を語り合いながら映画館を出ると、
空はすっかり真っ暗に染まっていた。
結局私の方が根負けし、薄暗い街の端っこで
2人 、映画のよかったところ語り合い合戦が始まった。
ちなみに、私がクライマックスで涙ぐんでいたのは
乾さんにはお見通しだったらしい。
またもや財布を開けようとする乾さんを止めて
タクシーに乗り込み、窓を開ける。
そう明るく声をあげて、窓の外へと大きく手を振る。
あなたに見えるように、あなたに聴こえるように 。
そんな私にあなたは小さく笑って、静かに手を上げた。
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{ 交換宣伝 }
本作と同じ “ 愛され系 ” なんですが 、
こちらは恋愛要素がたくさんあるので
メンバーの見え隠れする好意がすごく丁寧に
表現されていて、とってもキュンキュンします💖💖
チャプターのテーマがインテリ用語(?)に
なってるのもすごい、!! 賢くなれます 👓✧
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。