第32話

第二十五話
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2024/04/21 11:40
パンジー
ドラコ、一緒に次の授業に行きましょ?
ドラコ・マルフォイ
そうだな。


クーフェアイツと関わらなくなってだいたい3
か2年はたった。

初めは善意の心が傷んだが、慣れればどうってことなくなった。
パンジー
今日はレイブンクローと合同らしいわ。
ドラコ・マルフォイ
へぇ、そうか(じゃあ、アイツもいるのか…)

その後、クーフェがどうなったかと言うと刺された事件を知っている一部の先生の許可を得てレイブンクローに変わったらしい。


パンジーにはクーフェを刺したので色々重い課題や厳重注意だけで済んだ。

クーフェからなにか仕返しをされそうだと警戒をしていたが、意外とおとなしくなっていて安心した。
パンジー
ねぇ、ドラコ。
午前の授業が終わったら一緒に談話室で勉強しない?
ドラコ・マルフォイ
あぁ、そうしよう。
クーフェ
……
目の前を通り過ぎていくクーフェに見せびらかすかのようにわざとらしくパンジーに近づいて会話した。

クーフェアイツは僕に好意を寄せているということは前々の記憶でわかっていた。

そして僕も好意を寄せていたこともまた事実。

こんなことをしてクーフェアイツの気が引けるとは思えなかったけれど、パンジーには嫌がらせということでこんなことをしている。






パンジー
そういえば、ドラコ知ってる?
ドラコ・マルフォイ
ん?なんだ?
パンジー
ほら、私たちもう4年生じゃない?
ドラコ・マルフォイ
あ、ダンスパーティーか。

僕がなんやかんやしている間、学校内ではダンスパーティーの話で持ちきりだった。

パンジー
そう。だから、一緒に踊りましょ?
ドラコ・マルフォイ
あぁ、もちろんだ。
僕はパンジーの質問に迷うことなく答えた。

どうせ、相手なんて大勢よってくるだろうけど、パンジーと僕は時期に結婚するであろう仲になるのだから、ここで他の女性を選んだり、迷ったりしたらパンジーを余計に不安にさせてしまう。

ドラコ・マルフォイ
(それならいっその事、ずっとパンジーと踊っていようかな…)

そんなことを考えながら、クーフェアイツのことを考えた。

性別も分からないアイツは一体どんな格好で踊るのだろうか。

もしドレスを纏って踊るとなれば、きっと目が釘付けにされるほど綺麗に違いない。

もしイカしたタキシードを着てきたならば、学校に集まった女性の心を奪うだろう。


でも、アイツは一体誰と踊るんだ?

男性として踊るなら同じ寮のチョウ・チャンがいいだろう。

女性として踊るならハッフルパフのセドリック・ディゴリーらへんだろうか…


俺は授業中なのにも関わらず、隣にパンジーがいるのにも関わらず、ずっとクーフェアイツのことばかり考えていた。




あぁ_____









ドラコ・マルフォイ
クーフェと踊りたい…(ボソッ





ふと隣から物音がした。

僕の足元にはパンジーの羽ペンが落ちていた。

初め、「あぁ、なんだ。パンジーが羽ペンを落としただけか」と思ったが。

その時の僕は重大な過ちに気づいていなかった。

パンジー
ドラコ…あなた……今なんて…

パンジーの顔がだんだんと青ざめていく。

パンジーの声は少し弱々しくなっていた。
ドラコ・マルフォイ
?…どうした、羽ペン落としたぞ。
パンジー
っ!……
ドラコ・マルフォイ
……?
パンジー
っ……そんなのっ…要らないわっ!……

パンジーは僕を突き飛ばすような言い方をして急に教室をでていった。

先生は呼び止めたが先生の声はパンジーには届かなかったようでそのままどこかへ行ってしまった。

その後、授業は自習に変わり、先生はパンジーを探しに行った。

ドラコ・マルフォイ
(…何が起きたんだ?)
この時の僕は状況が掴めなかった。

ふとパンジーが居た所の反対側に人がいることに気づいた。

振り向くとそいつはクーフェだった。

前よりかは輪郭が良くなったクーフェ。前よりも陰気くさくなり、より無気力さが増した。

でも、相変わらずクーフェの瞳は死んでおり、その瞳は惹きつける何かがあった。
ドラコ・マルフォイ
はっ、クーフェじゃないか一体どうs……
クーフェ
あんた、最低だね。
クーフェの顔が僕の耳元まで近づき、心臓の音がうるさくなる中その一言で一気にどん底に落とされた気分になった。

ドラコ・マルフォイ
さ、最低だと?…どうしてそんなことが言える。
僕は少し動揺した。久しぶりに話すからか思考が追いついていないのだろう。
クーフェ
僕、聞こえたよ。
『僕と踊りたい』って。
パンジーが隣にいるのに。



その言葉を聞いて一番初めに「やってしまった」という焦りが湧き出た。

僕の耳元から離れていくクーフェの瞳は僕を軽蔑するような冷たい瞳で僕の胸が酷く締め付けられた。

少しの間、僕を見下してクーフェは自分の席に戻って行った。




授業が終わっても、息苦しさが続いた。

パンジーの不安な顔。クーフェの軽蔑する瞳。

何もかもが脳裏に張り付いている。






パンジー……許してもらえるだろうか…

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