ニコラの胸から溢れる血、口からも吹き出す血。
不気味な笑みを浮かべる母スマリンの持つ剣は血がポタポタと垂れていた。
倒れ込んでいるニコラを助けようと前に進むがナステスに手首を握られ動かない。
戦い中の父サスターがニコラを踏んでしまった。
スマリンはニコラを蹴りながら端へ退かした。
私は怒りが頭に込み上げてきた。
気づけば体に力がとても入っていた。
涙を浮かべながらもナステスの手を見た。
涙越しに映る光景はハッキリではないがナステスの手が凍っていることに気づいた。
残念なことに私とナステスの手が繋がってしまった。これじゃあ戦う事も逃げることすらも出来ない。
奥から体に火のついたジュピターが走ってきた。
私とナステスの手の間にジュピターは突っ込んできた。肩がグッと後ろへ行き、体が自然に一回転をした。当たり前だが私の手は赤く火傷状になっていた。
ナステスが真っ赤になった手を見ている間に私とジュピターはここを離れた。
下山し険しい道を通り顔を上げるとあちらこちらに相手側の鎧が沢山落ちていた。
どこからかアベッサの声が聞こえた。
戦っている騎士たちの中からアベッサを探すと、アベッサは剣を持ったグロチェスターと戦っていた。
ジュピターと私は離れ離れになった。
私はとりあえず氷で敵の足を凍らせて仲間の軍に楽にさせてあげる事にした。
グロチェスターの執事ブロッサスが私の肩を突き飛ばしてきた。
私は後ろにザザっと転けてしまった。
ブロッサスは私に剣をを振りかざしてきた。
私は氷を出すため手をかざしたが、その手はエスラードによって塞がれてしまった。
マリフがブロッサスに突進をした。
当然ブロッサスは飛んで行った。
マリフはエスラードに怒り私の手から払った。
エスラードは不貞腐れたようにどこかへ去った。
私はまた次々と敵の足を凍らせて行った。
アベッサの声と共にドンッという重低音が響いた。
軍のみんなが騒ぎ始めた。
視線が全てこちらに集まった。
下を見ると血がポタポタと垂れていた。
後ろを見ると銃を持った敵の兵隊がいた。