気づけば私は森に来ていた。まだ体は動かないが意識はある状態だ。ココは狩猟大会をした森だ。近くには人が住んでいる街もある。
周りには先程屋敷にいたアイラ・スタース・ジュピター・アベッサ・ニコラ・マリフ・他召使いが倒れていた。
うつ伏せになる私の目の前に現るエスラード伯爵。顔が横を向いていたので分かる。とてもニヤニヤしていて気色悪い。
木々の奥から人が沢山でてきた。
スカール、お母様、お父様、ベリースヒ、ブロッサス、ビーナフ、ナステス、グロチェスター他スペーストーン家の軍隊や執事もでてきた。
スカールはとてもニコニコしながら私の髪を掴む。私は指を動かせるくらいまで来ていた。
奥からナステスが出てきて腕をブンブン回した。
もうすぐ顔に当たるというところで目をつぶってしまった。
アイラが拳を受け止めた。
ビーナフはクスクスと笑いながら剣の持ち手を触った。
ビーナフは怒鳴った。辺りを見渡すと先程まで転がっていたマリフが居ない。敵に人質に取られたかと思ったが敵達も焦っているようだ。
後ろからキィィンと音がした。後ろを見たらビーナフが私に剣を振り下ろそうとしたのを食い止めたアイラの姿があった。
森の麓からココにかけてずっと足音が聞こえその音は近ずいてくる。ラスタ様が見えた。
私は不意にマリフを抱きしめていた。
マリフはとてもいい仕事をしてくれた。
お父様はラスタ様に勢いよく剣を向けた。
ラスタ様も乗り気で笑顔で剣を出した。
お父様はラスタ様に飛びかかった。
それを食い止めるようにラスタ様も剣を振り上げた。すると奥にいた軍隊や騎士達も剣を振った。
私は少し避けるためジュピターを探した。
私は剣が少し当たりそうなところでアベッサの能力で助けられた。
私は能力がない。どうすることも出来ない。
私は山の山頂まで目指す
私は必死に山を登った。
必死に。何か私にも出来ることは無いか考える場所を探す。
山頂に着いた。ここはみんなが戦ってる所がよく見える。
アイラはビーナフと戦っていた。
ラスタ様はお父様と。
スマイスとお母様はずっと眺めてるだけ。
私はナステスに手首を強く持たれ必死に登ってきた山頂からズルズルと降ろされた。
私のもう片方の手首を掴むもう一人の人。
ベリースヒが何処からか知らんけど現れた。
ベリースヒの手と剣は震えていた。
自分でも抗っているのか。
剣を振ろうとするその手は力いっぱい止めており、腕には血管がとても浮き出ていた。
ナステスはベリースヒに手をかざした。
掌から不思議な白いモヤが出てきていた。
その瞬間ベリースヒは驚く行動に出た。
ブシャッ
ベリースヒは自分の持つ剣で自分の首をザクっと切った。一瞬の事で何もかもが分からなかった。
私は足がガクガクして座り込んでしまった。
ハウェセルはベリースヒを抱えて下へ降りていった。
私は目を正面に向けると街の光景が映し出された。唖然とする光景だった。
先程の短時間で街が真っ赤に燃えていた。
皆が戦争しているのは山の中ではなく下の町や野原に変わっていた。
私の目に最初に映し出されたのは頭から血を流してもなお戦い続けるアイラの姿。
私の声は聞こえなかった。
私はちょうど見てしまった。
お母様が剣を取り
ニコラの体を
剣で貫通させた所を。