『え、あ〜うん。なるほどね。』
輪湖は表情をコロコロ変えながら受け答えする。
電話の相手は、村上鋼のようだった。
◉ 《嗚呼。新入りで、ワンコと手合わせしてみたいらしくてな。すまないが頼めるか?》
『あら…向上心のある子で。』
◉《ははは。そうだな、驚くと思うぞ。》
『まぁ、手合わせは良いとして今からは無理よ。用事あるし、早急でも4時間はほしいところかな。』
◉《いや、大丈夫だ。15時ぐらいで頼めるか?》
『うん。それなら大丈夫だと思う』
◉《ありがとう。じゃあ、ロビーで。》
浅間「話は、終わったか?」
浅間は手元のタブレットから視線をワンコに移した。
作戦室のソファに埋もれるように座っている。
『後輩の指南さ』
浅間「そう。」
光圀「蘭。次のランク戦の対戦相手は?」
浅間「那須隊、玉狛第二との三つ巴。玉狛第二は今シーズンから参加のルーキーだ。那須隊とは連続の対戦らしいがな。」
光圀「じゃぁ、マップ選択権は私たちにあるな。」
『作戦は?』
浅間「フォーメンションFで那須隊崩しだ。」
※フォーメンションF
浅間を中心とした遠距離重視のフォーメンション
『玉狛第二はどうするの?玉狛第二のスナイパーは、フォーメンションFに効果的な高台崩しを連鎖で行えるけど。』
浅間「玉狛のログは見た。スナイパーにもシューターにも俺を崩せるほどのポテンシャルはない。玉狛にそこまで興味をそそる部分はない。」
『__そう』
光圀「まあ、油断はするなよ。」
『ここまでだな』
『ムラカミク〜ン!』
輪湖は村上の肩に飛び乗った。
『アハ〜!不機嫌?ごめんね〜!』
村上「怒ってないから降りてくれ。」
『は〜い』
輪湖は綺麗な着地を決める。
?「ほう、この人が例の。」
村上の影から小さい男の子が出てきた。
白いふわふわな髪だ。外国人だろうか。
空閑「ハジメマシテ。空閑遊真です。」
『あら、はじめまして〜。』
『名前的にすんごい日本人だね。ウケる。』
空閑「ちょっと諸事情がありましてネ。」
『見るからに、玉狛の坊やとこの子だね。
私は、輪湖あなた。ワンコ先輩かワンコと呼んでくれ。さんは付けるなよ』
空閑「じゃぁ、ワンコ先輩と。
ところで、玉狛の坊やとはオサムのことですカ?」
村上「ああ。ワンコは気に入ったやつを名前で呼ばない癖がある。」
『興味が勝って名前を覚えられないだけさ。オサムと言うんだねあの坊やは。』
空閑「オサムは芯の通った正直で良いやつです。」
『ははは。知ってる。』
あなたが空閑の頭に手を置いた。
優しく輪郭を撫で、降ろす。
空閑「………………………?」
『苦労したな』
空閑「それは…」
『さて!立ち話はここまでとして、ブースに入ろう!』
『村上も、空閑が終わったら殺るだろ。私と。』
村上「いいのか?」
『せっかくだ。』
『さて、どっちの“私”が好みかな?』












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!