城壁から音も立てずに降りてきたクロノアの言葉に、しにがみは胸を撫で下ろす。
一定の時間で動く通信位置を見つめ、しにがみは眉を顰める。
正直、レウさんは単独で動くようなタイプではない。なにより治癒という能力は出来れば複数人で動いた方がいい。
それなら納得がつく。
途中までコンタミさんの通信機と共に動いていたし、コンタミさんの通信機なら魔力で持つ人の違いが分かる。
3人の方を振り向き、しにがみは口を開いた。
わざとらしく咳払いをし、まっすぐと皆を見る。
そうして告げたのは____
堅苦しい話の後に放たれた言葉は、なんとも暴力的な内容だった。
.......
数秒の気まずい静寂が最年長の男によって切り裂かれる。
それを見たしにがみは林檎の様に顔を真っ赤にしてクロノアの方に指をさした。
まさかの言葉にしにがみは目を見開きぱちくりと瞬きを繰り返す。
そんな様子を見てクロノアは笑いによって出た涙を拭き取りながらしにがみに伝える。
口元を手で覆い、別の方向で恥ずかしさが滲み出る。
クロノアの言葉と2人の温かい目にしにがみは視界が歪んでいく。
涙を乱雑にゴシゴシと拭き取り、そしてもう一度、顔を上げた。
城の方から響く揺れに目を細める。













編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!