第4話

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2026/01/24 05:35 更新
ぺいんと
ぺいんと
……集合したほうが早い、とは言ったけどな



 俺は止まったまま、廊下のど真ん中で腕を組んだ。


ぺいんと
ぺいんと
姿も見せずに話しかけてくるやつと、どう集合しろってんだよ


 返事はない。

 が、気配だけはある。


 右斜め前。
 距離、二メートル。
 そこに“何か”いる。


ぺいんと
ぺいんと
そこだろ


 俺は何もない空間を指さした。

ぺいんと
ぺいんと
透明なのは分かったぞ。
 分かったから……


 一拍置く。

ぺいんと
ぺいんと
……いい加減、出てこい


 数秒の沈黙。

???
……勘良すぎじゃない?



 空気が、歪んだ。

 次の瞬間。


ぺいんと
ぺいんと
うわっ!?



 人が湧いた。


 いや、正確には、
 いきなり人が生えてきた。


ぺいんと
ぺいんと
ちょ、ちょっと待て!
解除の仕方ってもっとこう……フェードアウトとかろ!
 (徐々に出てくる的なやつ)
???
無理だよね。急に切れる仕様だから



 何食わぬ顔で立っているのは、
 黒猫のフードを被っている男性だった。


ぺいんと
ぺいんと
???
???



 互いに黙る。


 俺は、ゆっくり口を開いた。

ぺいんと
ぺいんと
……なぁ
???
???
なに?
ぺいんと
ぺいんと
今の、初対面の登場の仕方としては最悪だぞ
???
???
え、そう?



 そうだよ。

 心臓に悪いにもほどがある。


ぺいんと
ぺいんと
普通さ、「解除するよ」とか一言あるだろ
???
???
だって面白そうじゃない
ぺいんと
ぺいんと
そういうとこだぞ


俺はため息をついた。

ぺいんと
ぺいんと
で、君は……
クロノア
クロノア
クロノア


 即答だった。

ぺいんと
ぺいんと
……クロノア、ね



不思議と、名前が引っかからない。

むしろ、しっくりくる。


ぺいんと
ぺいんと
俺はぺいんとだ。よろしく、って言えばいいのかな?
クロノア
クロノア
たぶんね


 クロノアは軽く笑った。

クロノア
クロノア
さっきの動き、見てたけどさ
ぺいんと
ぺいんと
見られてたのかよ
クロノア
クロノア
透明だからね
ぺいんと
ぺいんと
便利すぎだろ!!


 俺がツッコむと、クロノアは肩をすくめる。

クロノア
クロノア
君、絶対リーダー向きだよね
ぺいんと
ぺいんと
……は?
クロノア
クロノア
指示出すの早いし、判断も迷わない


 なぜか、胸の奥がざわっとした。

クロノア
クロノア
そういうの、
 どっかでやってた気がする
ぺいんと
ぺいんと
……奇遇だな


 俺は鼻で笑う。

ぺいんと
ぺいんと
俺も、同じこと思ってたとこだ

 そのとき。
 【監視カメラ:無効化中】

 【外部アクセス検知】
 視界に、新しい表示。


ぺいんと
ぺいんと
お、今度は誰だ?
クロノア
クロノア
さあ?


 クロノアが楽しそうに言う。

クロノア
クロノア
でもさ
 彼は俺を見た。
クロノア
クロノア
この感じ……
 もう一人、裏で全部止めてる人いない?
ぺいんと
ぺいんと
だな

 俺は即答した。
ぺいんと
ぺいんと
しかも、無駄に丁寧なやつだ


 二人同時に言う。

ぺいんと
ぺいんと
敬語使いそう(同時)
クロノア
クロノア
敬語使いそう(同時)
ぺいんと
ぺいんと
……
クロノア
クロノア
……


 数秒後、俺たちは同時に吹き出した。

ぺいんと
ぺいんと
なぁクロノアさん
クロノア
クロノア
なに?
ぺいんと
ぺいんと
これ、偶然にしちゃ出来すぎだぞ
クロノア
クロノア
だよね


 クロノアは笑って、言った。

クロノア
クロノア
前にも、こうしてた気がする


 俺はうなずいた。

ぺいんと
ぺいんと
記憶はねぇけどな


 それでも。

ぺいんと
ぺいんと
……作戦は、続行だ


 俺がそう言うと、
 クロノアは迷いなく頷いた。

クロノア
クロノア
了解、リーダー
ぺいんと
ぺいんと
……やめろ。照れるだろ
クロノア
クロノア
今さら?
ぺいんと
ぺいんと
今さらだ



 こうして、
 最初の一人目が合流した。


 完璧な作戦に、
 足りないのは……


 まだ、記憶だけだった。

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