3。最大の悲劇は突然に。
話中キーストーリー
【悪夢】
そんな優しいお母さんの声とドアが閉まる音がして俺は目を覚ました。
目を開けるとまだ腕の中で寝ているさとちゃん。
ぼそっと呟きながらさとちゃんのほっぺをぷにぷにしていると、
なんてかわいらしい声を上げながら眉を下げる。
そう言っているが、目をつぶったままで眠そうだ。
俺の腕の中で思いっきり伸びたあと、目を開けて
え、なに?
俺なんかおかしい?
え?
泣いてる、?
何も無い、何もなかった、
ただお母さんが階段降りていって、さとちゃん起こしちゃっただけなのに、、
突然こんな話の変え方をするのは、あんまり思い出させたくない何かがあるってことなのかな?
チャポ…ピチャ…ッ…
水の音。
ぼーっとただお湯に浸かる。
息が詰まりそうで、苦しくて
でも、さとちゃんが声をかけてくれたら落ち着いた。
安心したんだ、たぶん。
人がそばにいてくれることが。
ふふ、と何故か微笑んでしまう。
無意識のうちに出た言葉。
…幸せだなw
同時にとても寂しくなる。
この幸せな時間も
さとちゃんといられる時間も
いつかはなくなるわけで。
俺は何も出来ずに、ただ時間が過ぎるのを見ているだけで。
無力だった。
ジェルがお風呂から帰ってくる。
特にいつもと変わらない。
ただ、
パタン
ドアを閉めた時にちらっと見た黄緑色の瞳が
少し寂しそうだった。
さとちゃんが眠そうにあくびをしている。
ぼそっと呟くと、
俺の唇に人差し指をさしながら言う。
眠そうだけど、何処か意地悪そうなその顔は
俺の眠気をすぐに引き出した。
俺の手を握りながらベッドを指さす。
そのまま2人でベッドに入った。
くるっと俺と反対側を向こうとするさとちゃん。
なんだか眠くてぼやっとする。
自然と萌え袖になっていた手でさとちゃんの服をぐいっと引く。
自分でも何を言っているか分からなかった。
さとちゃんがハッとしたような顔でこっちを見る。
…ごはん?
…食べてくればいいじゃんか…
眠そうに言うと、さとちゃんがふふっと笑う。
俺のシャツを肩まで下げて
…え。待てそっちか
ブツッ…
……遅かった。
痛い。
痛い、、
あれ、まだ全然時間経ってないのに。
まだ止まっていない血をみて、さとちゃんはぺろっと舌なめずりをすると、傷口のすぐ下の血を舐め始めた。
お母さんにバレるからだろうか、
耳元で言われるから余計に反応してしまって。
できるだけ抑えてみても、やっぱり出てしまう。
顎クイでさとちゃんと目が合う。
綺麗な紺色の瞳。
距離が近いからか、息が出来なかったからか、
頬は少し赤くなっていて。
顎クイをしていた手は、俺の頬に添えられて。
かぁぁぁっと赤くなる俺を見てにこっと笑って、
そのままキスをした。
ふわっと宙に浮くような感覚の後、傷口が治る。
俺のシャツをもどしながら、さとちゃんが言った。
?
息が出来なくなっちゃうからか…
さとちゃんが目を丸くする。
ふふっと笑うと、ありがとう。と言って頭を撫でられる。
撫でられたのが嬉しくてにこにこしていると、
さとちゃんが
なんていう。
すき、
すき、。
好き、
好き?!?!?!?!
頭で理解するのに時間がかかってしまった。
理解した途端に頬が熱くなる。
ん、、
いじわるも大概にしてくれ。
、、?
え、まじなん?
俺のこと好きなん?!
混乱中の頭を整理するので精一杯になっていると、唇に柔らかいものが触れる。
聞き覚えのある音がする。
はぁ。
さっきまで眠そうだったさとちゃんの目がガチになる。
いや、怖っ。
いやまて、?
ん?
なになに?はい?
ちゅーとぎゅーは分かる。
「そういうこと」?
今はまだ知らない方がいいってことなのかな?
お父さんが言ってたな、まだ知らなくていいこともあるって。
言うんかい。
思わず突っ込んでいると
さとちゃんは突然俺の下半身を触りながら
えっちなこと、、、
なんだろう。えっちって。
ちょっとの間ドキドキで寝れなかったのは秘密。













編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。