階段を降りようとした時長谷川くんがぱっと振り向いた
振り向いた時ドキッとしたのは驚いたから?
ううん。きっと違う
ま…そうだよね
北人イケメンだし優しいし
バスケも上手いし
女子からも人気で
知らないわけないか
でもなんかちょっと悔しい…
幼なじみだからって北人は北人呼びかよ
いいな
じゃあ北人はもっと前からずっとこの子と一緒に居たんだ
そう思ったらなんかモヤモヤした
この気持ちが何なのかくらい僕にだってわかる
早く何か言わないと私…
いきなり名前呼びってハードル高すぎる…けど
せっかく頼んでくれたんだから
当然慎くんの顔なんて見れないよ…
下向いてて
これでよかったのかなって自信なんてないし
でも…
頭の上からぼそっと降ってきたその声で
恥ずかしいのは私だけじゃないみたい。
そう思えた
📞
今…見えちゃった
画面の名前
さくら
女の子の名前だった
約束…2人でどっか行く予定だったのかな
そう思ったら胸が締め付けられた感じがした
もしかしたら妹さんとかかもしれない
ただの女の子の友達かもしれない
だけど頭の中で彼女だったら…
自分の勝手な想像なのに。
慎くんのこと好きになっちゃったから
慎くんが一気に遠いところに行っちゃったみたい
今から…
行っちゃうのかな慎くん
2人で回りたかったな
ちょっと上を向いたら慎くんと目が合った
そっか
私がいたらそのさくらちゃんって子と一緒に行けないもんね
邪魔しちゃだめだ
私はニコッと微笑んで
「慎くんまたね」そう小さい声で言ったあと
走って屋上を後にした
今は1人になりたかった
時雨です
フォローして下さった方、お気に入り、ハート押してくださった皆様本当にありがとうございます
これからもこんな遅めの投稿になるかと思いますが気長に待って頂ければ幸いです🌧
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。