第6話

44 - 車
641
2023/05/24 07:25 更新






-----あなた視点-----
















車が出発してから、




さりげなくかけてくれた車のロックも、



あなたの一人称の冷たい手をあっためようとして重ねてくれた大きな左手も、



「彼女のためだけのボーカルのみライブします」なんて言って始まった生歌も。








“みんなの”さとっちゃんはもちろんのこと、



“彼氏の”さとっちゃんも、すごい素敵な性格だ。






さとっちゃんの生歌をバックに、窓ごしに朝の街中を楽しみながらしみじみ思う。










さとし
はーあーーーーーーーー↑♪…
さとし
じゃーーーーーーーーーーーーーーーーーん…♪
あなた
わぁぁあ…👏🏻👏🏻




大学に到着したところで


ちょうど生歌の “ コーヒーとシロップ ” が終わったため、余韻に浸る。



さとし
…はあい、到着しましたっと!
あなた
ありがとうございました……!!


さとっちゃんは車のロックを外す。



自分は彼に向かって、精一杯感謝をこめた深いお辞儀をした。


さとし
…てか意外と間に合ったね。笑
あなた
あっ…たしかに 笑



車の時間を見ると、


7 : 2 6 と表示されている。


あなた
車とか割と少なくて、信号も引っかかりませんでしたもんね…!
さとし
うん〜……


前髪をかきあげるさとっちゃん。
※かっこいい






あなた
あぁぁぁぁぁぁぁああ………


このままさとっちゃんと2人でいたい。


さとっちゃんと離れたくない。


どうせ行ってもひとりぼっちだし。





という思いが脳裏によぎるが、だったらなんでここまで来たんだ ということになるだろう。





あなた
( そろそろ行くか…… )


ため息をこらえて荷物をまとめ、降りる準備をする。














さとし
…ねえあなたちゃん?
あなた
はいっ…?


声のした方に顔を向ける。





さとし
……今日、サボったら?
あなた
え?笑




今のあなたの一人称にとって1番言って欲しかった言葉かもしれない。


思わずニヤッとしてしまった。





さとし
今日、なんか大事なこととかあるん?
あなた
あ、今日はたしかライブチケットのことを……!
さとし
じゃあ良くない?

さとし
…ライブなんてもう俺あなたちゃんのためならいつでもするし
さとし
運営さんに頼んでチケットとっとくことだってできるし…





帯に乗せるように言葉を放っていくさとっちゃんは、



「行かないで」と言わんばかりにあなたの一人称の手を握ってくる。



あなた
…たしかに
あなた
ライブ行かなくても、すぐそばにいてくれるのか……







さとし
……だめっ…?
あなた
え、あ、いや断るわけないですってそんなん……!!!



さとし
っっっし。






先程の甘えるような「だめっ?」とは裏腹に、凛々しいガッツポーズを見せた。


さとし
んじゃあ今日は、モーニングドライブデートってことで!







今度はさっきよりも大きく、優しく左手を重ねられる。






あなたの一人称がその手を軽く握り返すと、車が出発し、朝早くのモーニングデートが始まった。









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