またいつものように、チェウォンが大した用もなくやって来たんだと思っていた私は、インターホンの画面に誰が映っているかなんて確認もせず玄関を開ける。
するとそこにいたのは、今一番会いたくない人だった。
この状況も、ミンジュの話している意味も。
私はうまく理解ができなかった。
地面に落としていた視線を再度あげれば、ミンジュは今にも泣きそうな顔をしていた。
私は……何を恐れて、ミンジュに隠し事をしていたんだろう。
親しくなるのが怖かった?
距離が縮まることが?
それとも…留学に行って、忘れられること?
謝ることしかできない私に、ミンジュは1つため息をついた。
そう言い切ると、ミンジュは私の頬を両手で包み込み。下を向いてばかりの私と無理やり視線を合わせる、
咄嗟の出来事で、抵抗することはできなかった。
そう問いかけるミンジュの口調と視線は、今までで1番優しくて、柔らかかった。
そして、"好き"という言葉は、私が聞きたかった言葉であると同時に、聞きたくなかった言葉でもあった。
"私は好きだよ、あなたのこと。"
…あのオンニも、私に好きだと言ってくれた。
でも、突然居なくなった。もう会えることもない。
私の抱いていた"好き"とオンニの言う"好き"が、違うものだったと今では分かってる。
でも私は、自分の好きな人が離れて行く経験をするのはもう嫌だった。だから感情に蓋をした。
人を好きになるのは、辛いことだと思い知ったから。
だけどもう、自分に嘘を吐くのはできないと思った。
私を見つめるミンジュの目が、あまりにも綺麗だったから。














編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。