第17話

jrsn「俺の全てあげる」
280
2026/08/17 10:44 更新
楽屋に入ってきた慎太郎は、テーブルの上を見て目を丸くした
森本 慎太郎
樹、また俺の分まで買ったの?
田中 樹
だって慎太郎、これ好きじゃん
森本 慎太郎
好きだけどさぁ……こんなにいらないって
田中 樹
じゃあ食べればいいじゃん
森本 慎太郎
そういう問題じゃないんだけど
慎太郎が呆れたように笑う。
樹はそんな慎太郎を見ながら、当たり前のような顔をしている
田中 樹
慎太郎が欲しいって言ったもの、買ってきただけだよ
森本 慎太郎
俺、そんなに言った?
田中 樹
言ってた
森本 慎太郎
……覚えてんの?
田中 樹
覚えてるよ
田中 樹
慎太郎のことだから
その言葉に、慎太郎は少し照れたように笑った。
そこへ髙地が入ってくる
髙地 優吾
また樹、慎太郎に甘やかしてんの?
田中 樹
別にいいだろ
髙地 優吾
いや、甘すぎるって
田中 樹
だって慎太郎だから
森本 慎太郎
ほら、またそれ
慎太郎が笑う。
樹はそんな慎太郎を見て、嬉しそうに目を細めた。
けれど、その日の帰り。
慎太郎が別のメンバーと楽しそうに話しているのを見た樹は、少しだけ黙り込んでいた
森本 慎太郎
……樹?
田中 樹
ん?
森本 慎太郎
さっきから静かじゃない?
田中 樹
別に
田中 樹
普通
森本 慎太郎
森本 慎太郎
なんか怒ってる?
田中 樹
怒ってないって
慎太郎は樹の顔を覗き込む
森本 慎太郎
じゃあ、なんでこっち見てくれないの?
樹は少し迷ってから、ため息をついた
田中 樹
……慎太郎さ
森本 慎太郎
うん?
田中 樹
俺以外のやつにも、あんな顔して笑うんだな
森本 慎太郎
……え?
田中 樹
いや、なんでもない
樹が歩き出そうとすると、慎太郎がその腕を掴んだ
森本 慎太郎
待ってよ
田中 樹
何?
森本 慎太郎
もしかして……嫉妬してる?
田中 樹
してない
森本 慎太郎
してるじゃん
田中 樹
してねぇって
森本 慎太郎
顔に出てるよ、樹
慎太郎が笑う。
樹は少し困ったように眉を下げた
田中 樹
……好きなんだよ
森本 慎太郎
え?
田中 樹
慎太郎のこと
慎太郎が黙る。
樹はそんな慎太郎を見つめながら、ゆっくり言葉を続けた
田中 樹
慎太郎が笑ってると嬉しい
田中 樹
幸せなら、それでいいって思ってる
森本 慎太郎
……うん
田中 樹
でも、俺の知らないところで、俺の知らない誰かと楽しそうにしてると……やっぱ嫌なんだよ
森本 慎太郎
樹……
田中 樹
俺、思ってる以上に慎太郎のこと好きだから
慎太郎は少し照れながら樹を見る
森本 慎太郎
……重いよ
田中 樹
知ってる
森本 慎太郎
めちゃくちゃ重い
田中 樹
それも知ってる
慎太郎はしばらく黙ったあと、樹の袖を小さく掴んだ
森本 慎太郎
でも……嫌じゃない
樹が目を見開く
田中 樹
……ほんと?
森本 慎太郎
うん
田中 樹
じゃあ、もっと好きになっていい?
森本 慎太郎
もう十分好きでしょ
田中 樹
足りない
森本 慎太郎
えぇ?
田中 樹
俺、たぶん一生足りないから
慎太郎は笑った。
その笑顔を見て、樹も嬉しそうに笑う
田中 樹
俺のすべて、慎太郎にあげる
森本 慎太郎
……じゃあ、大事にする
田中 樹
うん
田中 樹
大事にして
そう言って樹は、慎太郎の隣を歩き始めた。
田中樹の溺愛は、今日も止まらない
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