いるまside
ため息をつき、自室のソファーに身体を預ける。
今日はいろいろなことが起こりすぎた。
ただえさえ今日のパーティーの準備で疲れが溜まってたってのに…
玉座の間から通じる、地下通路の先にあった機械。
あれは、帝国国民の全員に作用しているらしい。
非科学的で、とても信じられないような代物だが…
この国は、八公二民という重税を国民に課している。それによる人身売買や餓死者も後を絶たない。
それなのに、その状態が数百年間続いている。
普通なら、革命が起こったり他国の介入があるはずだ。
おかしいと思って、俺となつでその理由を調べたこともあったが、わからず終い。結局、帝国軍の武力で弾圧され、無かったことになったのではないかという結論に落ち着いた。
だけど、あんな機械が存在しているなら話は別だ。
皇帝の話によると、皇室の血が入っている者には洗脳が効かないらしい。
俺ら6人が反乱意識を持てたのはそれのおかげだろう。
らんは言わずもがな。
俺は宰相の家系だからたびたび王家から降嫁や入婿が入ってくることがある。
なつも軍のトップの家系だから同様。
すちは、先代皇帝の従姉妹がすちの祖父の絵に一目惚れして無理やり嫁入りしたんだっけか…
こさめは、母が皇室傍系の出だったはずだ。
みことは、亡国の元王子だし、そういう洗脳には耐性が付けられてたんだろうな。
それにしても…
らんはあんなこと言ってたが、革命なんてそう簡単に起こせるようなものじゃない。
俺たち6人+臣下では、とてもじゃないが帝国に太刀打ちできるとは思えない。
薄情かもしれないが、俺らは見ず知らずの国民よりも、らん1人の方が大事なんだよ……
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。