第32話

31
1,647
2020/09/12 12:00 更新



side R



あなたに当たってしまった…。

なんで直ぐに謝らなかったんやろう。



そんな事を考えながら稽古場に向かっていた。



今年は次から次へと、舞台の出演が決まって、休む間もなく、稽古、本番と言う流れが続いていた。

前の舞台が千秋楽を終える前に、次の舞台の稽古が始まり、セリフも覚えなければいけない。



こんな経験はほとんど無くて、
自分にも余裕の無さを感じていた。



_



マネ「龍太。携帯、前の現場に忘れてんで」

龍「え?あれ…ほんまや、」



稽古が終わって、マネージャーからそう告げられると、確かに携帯が無かった。



マネ「さっき文ちゃんから連絡あってん。あなたちゃんが部屋に届けといてくれるって」

龍「あ、ほんまに?」



それなら安心や、
と、稽古場を後にして家に帰った。



_



家に着いて、
テーブルの上に携帯とメモが置かれていた。



【さっきは、
 台本読んでる時にお邪魔してごめんなさい】



…そんな事ない。

俺が八つ当たりしてしまったばかりに、
あなたが責任を感じることやないのに…。



携帯を見るといくつかの通知。
♡♡
次の時△△って
レストランどうですか?
♡♡
楽しみにしてますね♡


今共演している女優さんからのメッセージ。



なんでか分からんけど、好意を持たれているようで、2人での食事をしようと、何度も誘われている。

共演者みんなで行くならともかく、2人で行くのは絶対に避けたくて、有耶無耶に断っていた。



だけど、

嫌な予感がした。



通知の時間は取材が終わって数十分後。

…あなたが、見ていたら、この文面だけで勘違いしてしまう気がする。



直ぐにでも、あなたに会わないといけない気がして、俺はそのまま家を飛び出した。



プリ小説オーディオドラマ