第21話

21、赤葦京治
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2026/02/18 09:33 更新
夜の自室。机に向かっているけれど
ノートはほとんど進んでいない。

「……むり」

小さく呟いた瞬間、ドアがコンコンと鳴った。

「あなた、起きてる?」

落ち着いた声。

「うん」

ドアが開いて、部屋着姿の赤葦が入ってくる
手には温かいマグカップ。

「はい。ココア」

「え、ありがとう」

「さっきから全然ページ進んでないけど、大丈夫?」

図星。

「見てたの?」

「なんとなく気配で分かる」

そう言って、当たり前みたいに隣に座る。

「高二は色々考える時期だよね」

優しい声。

「進路?」

こくりと頷くと、赤葦は少しだけ目を細めた。

「あなたは真面目だから、考えすぎるんだと思う」

「そんなことない」

「あるよ。俺の妹だし」

さらっと言う。

指先がそっと頭に触れる。

ゆっくり、丁寧に撫でる。

「お兄ちゃん……」

「なに?」

「甘やかしすぎ」

「自覚ある」

真顔。

でも手は止まらない。

「あなたが頑張ってるの、ちゃんと知ってるから」

低くて穏やかな声。

「無理して笑ってるのも、俺には分かる」

思わず俯くと、そっと肩を引き寄せられる。

「ほら」

抵抗する間もなく、赤葦の胸に額が触れる。

「少し充電しよう」

背中を優しく撫でられる。

一定のリズム。安心する。

「俺はさ、あなたが幸せならそれでいい」

「そんな簡単じゃないよ」

「簡単じゃなくてもいい。俺が支えるから」

即答。

迷いがない。

「学校で何かあったら、すぐ言って。迎えに行くし
話も聞くし、必要なら相手と話す」

「最後ちょっと怖い」

「本気だから」

淡々としているのに、目が本気。

「彼氏とかはまだ考えなくていい」

「出た」

「まだ早い」

真顔。

「あなたはもう少し、俺に守られてて」

ぎゅ、と腕が少し強くなる。

「世界で一番大事なんだから」

静かな声なのに、重みがある。

「お兄ちゃんってシスコンだよね」

「否定はしない」

きっぱり。

少し離れて、まっすぐ目を合わせる。

「好きだよ、あなた」

兄としての、深くて揺るがない想い。

「何があっても味方だから」

そう言って、額にそっとキスを落とす。

「今日はもう寝よう。隣にいる」

冷静で、優しくて、少し重たい愛情。

それが赤葦の、激甘な兄だった。
           〈完〉
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