ほとけside
ぼくは今びょういんにいます
かんしカメラがついたおへやで
きまった時間におこされて
きまった時間にごはんをたべる
今日の先生はへんなえがおつくってるから
ちょっといやだ
食べおわったら先生をよんでクスリをのむ
のんだら口をあけないといけないんだ
ちゃんと飲んだか かくにんするためにね
でもぼくはニガいからのみたくない
前ばと上くちびるの間にはさんだらバレないんだ
ここまではいいの、ごはんもおいしいし
先生もやさしいし
でもね、ぼくがちょっとあばれちゃったり
べつ人かくの子?が出てきたあとは
体をしばられちゃう
ぼくは動けないのがいやだからこれが大っきらい
ぼくはつい言っちゃったの
そしたら先生が泣きそうになっちゃった
ぼくのとくぎは作りえがおだから
ちょっとでも先生のためになれたらなっておもった
いふ先生ははなしをそらした
「そらす」って言葉は
りうちゃんにおしえてもらったんだ!
あとね先生にはなんでもお見とおしなの
ガラガラ
先生が出ていって1人になった
ちょっとすれば別の先生が来るけど
それまでの間しずかになっちゃうからさみしい
コンコン
だれかがドアをたたいた
ガラガラ
りうちゃんがあわてておへやに入ってきた
りうちゃんはなんでも知ってるしなんでもできる
ぼくとはちがう、すごい人
コンコン
ガラガラ
いふ先生とりうちゃんが言ったとおり
アニキはおやつを持ってきた
ぼくはこの時間が大好き
みんながうれしそうだから
りうちゃんはこだわり?があるから
べつのおへやにあるりうちゃんの石けんで洗ってる
ガラガラ
部屋を出たらすぐそこでないちゃんが手を振ってた
りうちゃん、リスカでもしたのかな
ちょっとそでに血がついてたし
ガラガラ
ぼくも食べたいけど
それよりいふ先生に元気になってほしいから
そう、今日のいふ先生はへんだった
えがおもヘタクソだったし
おやつをたべたあと、アニキといっしょに
いふ先生にクッキーをあげに行くことにした
かみんしつの前を通るときにだれかの声がした
それがいふ先生だって分かったからドアを開けた
そしたら急におきあがってないちゃった
いふ先生はどこを見てるか分からなくてこわい
そう言ったけど気になってドアに耳をつけて聞いた
どこに戻りたくないんだろう…
ぼくがあんなこと言っちゃったからかな
僕はアニキにバレる前に
りうちゃんのおへやに走った
コンコン
ガラガラ
いふ先生のこと考えてたから
たぶん話しかけられてたとしても気づいてない
コンコン
3人でなにのせいか考えてたらドアがノックされた
ガラガラ
入ってきたのはいふ先生だった
ガラガラ
いふ先生はそう言って部屋を出ていってしまった
しまったばかりのドアをあけて
いふ先生をおいかけた
いふ先生は歩くのがはやいからとおくまで行ってた
忌夢side
階段の近くでやっと追いついた
ほとけが自虐をする所本当に腹が立つ
本当はほとけの為じゃなくとも生きてて欲しいけど
ほとけside
忌夢に「元気でいろ」
って言われたからできるだけあかるく話す
忌夢がこうやって言えってさ
そしたら先生がないちゃった
まちがえちゃったのかな、
そのまま先生はかいだんで下にいっちゃった
いふ先生のことをつたえるために
りうちゃんのおへやにもどった
ぼくは忌夢に聞いたことをぜんぶつたえた
なんでかは分かんないけど、
りうちゃんが言うのなら会わない方が良いのかな
いふ先生のことをかんがえてたら
りうちゃんに聞きたいことをおもいだした
うれしくてないちゃうい味は分からないけど
ちょっとでも元気になってくれたのならいいや
いふ先生がいなかった1週間いろんなことがあった
まず、りうちゃんにおべん強を教えてもらった
読み書きができる漢字がふえたんだ
でも、いふ先生が居なくてちょっと寂しかった
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
朝起こしてくれるのがいふ先生じゃなくて
薬を飲んだか確認するのがいふ先生じゃなくて
忌夢から戻った時、
そばにいるのがいふ先生じゃない
忌夢もいふ先生がいなくてつまんないって言ってた
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
でも!今日はいふ先生が帰ってくる日
だから、部屋でいふ先生を待ってた
カギをかけられちゃったから探しにはいけないんだ
ワクワクして部屋の中を歩いてたら
忌夢が頭の中で話しかけてきた
本当にダメなことが起こる気がして不安になった
今思えばこの病院に入った時の記憶が無い
ガラガラ
忌夢が過去の話を言いかけた瞬間ドアが開いた
久しぶりに会って、うれしくて
先生に飛びついた
いふ先生はちゃんと笑ってた
その後この1週間のことを全部伝えた
いふ先生はずっと笑顔で聞いてくれた
3ヶ月後みんなの病気が治ったというか
入院しなくていい程度になった
だからみんなで遊園地も行けて嬉しかった
でも、忌夢が消えちゃった
いふ先生に言ったら
「仕方ないけどこれが正解なんやで」
って言ってた。
「なにかを手に入れるには何かを失う」
僕の場合幸せを手に入れて忌夢を失っちゃった
十数年後
僕ら3人は退院後勉強を頑張って精神科医になった
それでこの病院に戻ってきたってわけ
ガチャッ
パァン パァン パァン
とびらを開けた瞬間3つのクラッカー音が鳴った
僕達を助けてくれた3人は
見た目はちょっと変わったけど中身は変わってない
すぐにそれぞれが自分の先生の近くに行く
みんなが口々に話していると扉が開いた
入ってきたその子は忌夢に似ていた
ないちゃんが先陣を切って話しかける
でも、叩かれちゃった
その子は僕の元に走って足にしがみついた
しゃがんで目線を合わせる
忌夢はきょとんとしてたけど
ぼくはその子が別人格の忌夢にしか見えない
僕は、何も失わず幸せを手に入れたのかもしれない
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。