りうらside
今日も君は会いに来た
本当は嬉しいけど恥ずかしくて冷たくしてしまう
空気が重くて何も言えなくなる
我慢できなくて吹き出してしまった
2人で笑っていると誰かが入ってきた
ガラガラ
雰囲気がまた元にもどる
みんなにこうやって誤魔化して、
何がしたいんだろう、俺は
本当にこの先長くないのに
今年の誕生日を迎えられるかすら分からないのに
ガラガラ
座ってるのがしんどくて、ベットにもたれかかった
窓の外の木には弱々しい葉っぱが1枚
今にも木から離れちゃいそうで
今のりうらにそっくり
りうらがどんなに弱っても家族は来てくれない
心も身体もボロボロで
今だっらアリにも負けちゃうかも、なんて
コンコン
病院服の袖で涙を拭って返事をする
急に雰囲気が変わって縮こまってしまう
突然の朗報に間抜けな声が出てしまった
数日後、無事手術が終わり病室で目が覚めた
なんとなく外を見ると
あの時の弱々しかった葉っぱはもう亡くなっていた
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!