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第4話

第四章 私はそっち側のそっち側の人間じゃない
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2026/02/14 03:21 更新
ーーー自分はそっち側の人間じゃない

インターネットで、「ストレス 寝れない」「呼吸浅い 笑えない 食欲ない」などと、調べると、必ず精神の病の名前が出てきた。
だけどそのたびにに自分は、私はまだそっち側の人間じゃないと思っていた。
思いたくなかった。
病院に行くことも考えた。だけど親になんて言えない。


そんな日々が続いたある日の帰り道。夏休み前から部活に来なくなった同級生の女の子と駅で会った。
話すのも会うのも久しぶりだね、なんて言葉を交わしながら電車に乗り込んだ。

「澪、部活は?」

「今日は…用事!そう、用事があって帰らないといけなくて」

用事なんてないのに、嘘をついてしまう自分にまた心に日々が入る。

「私さ、部活行かなくなったのさ、顧問とかあの環境のせいなんだよね」

急に話し始めたからどの話題かもよくわからないのに、私の今聞きたいことを話しているような気がして、相槌をうった。

「なんかもう体調もおかしいしさ、親に病院に連れていかれてさ。私うつ病なんだって」

明日晴れるらしいよ、くらいのテンションで話してくるからはじめはよくわからなかった。

「そう、なの?えっそれって大丈夫なの?」

慌てて質問攻めみたいにしてしまったが、相手は落ち着いていた。私がネットで調べてきて何度も見てきたうつ病。私に当てはまっていたのはうつ病ではなかったが、それに似たものだった。

その言葉を見るたびに、認めたくない自分と、認めたら楽になるんだろうかという葛藤でいつも心がえぐられていた。なのに、目の前の同級生は、それがどうかした?みたいな表情で見てくる。どっちが正常なのかわからなくなった。

だけど、正常だからいいというわけではないことを教えてくれた。

それに、その子は事実を認めていて、自分の一歩先を歩いていた。


「しんどかったらやめてもいいんだよ」

この言葉を聞いた瞬間、私のいままでのモヤモヤは全部何処かに飛んで行った。
もしかしたら、誰かにこの言葉をかけてもらえるのをずっと待っていたのかもしれない。


「部活、続けるの?」

「ううん、辞めることにする、っていうか絶対やめる」

「なにそれ、恨みでもあるみたいじゃん」

そういって笑ってくれたことが、私にとっては嬉しかった。

恨みなんてない、ただ今の自分には合わないだけで、苦しいだけ。
そこから離れることは逃げたわけではない。




一度だけやりとりをした顧問とのチャットを開く。一呼吸して文字を入力し始めた。

「こんばんは。突然ではありますが、今度の大会を持って部活をやめさせていただきます。」

挨拶は常識だ、対面でもそうでなくても。

顧問に言われてすごく響いた唯一の言葉を思い出して、夜の挨拶を入力する。
私はこの人が嫌いなはずなのに、クスッと笑えるくらい心には余裕ができていた。


送信ボタンをおす私の手はかすかに震えていた。だけど、送ったからにはもう戻れない。もういい。私はまた別の人生を歩むんだ。


友達が教えてくれたこと、恋人が支えてくれたこと。何気無い友達の一言で気づいたこの気持ち、そして体に現れた自分の変化。これまであった全てのことは無駄ではなかった。そう思ったらまた一つ心が軽くなった。


と思っていたのに、最後の多きすぎる課題に当たることを、私はまだ知らなかった。





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突然のコメント失礼いたします。
作者のapricotです。
初めて執筆した小説で、誰かに読んでもらえるのかなと不安だったのですが、予想以上に読んでいただけていることに驚きつつも嬉しく感じています。
続きはいま執筆中です。
気長にお待ちいただけると幸いです。

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