あなたside
昔、個性が、異能が世界に現れるよりも、少し前。
一人の青年が産まれた。
齢6つの頃には既に周りよりも優れた知識を有しており、大人たちを驚かせた。
そんな青年が5つの頃に現れ始めた異能と呼ばれ、病気とされる力を、青年もまた有していた。
それを上手く隠し、使っていた青年はのらりくらりと、周りの望む、なおかつ自分の興味のある道を目指すことにした。
それが変わったのは青年が12になった年。青年に、年の離れた妹ができてからだ。
妹は、少女は青年と同じく異能を有していた。産まれたときから身体から糸のようなモノを出し、自身を包む少女を、家族は化け物だと叫びだし、殺そうとした。
力があると言えばどうなるかを、妹で知ってしまった。
殺されたというのに、生きている妹を見て、青年は行き過ぎた力であることを理解した。
青年は後に、「異常者」と呼ばれるようになる。
誰が言い始めたのは分からない。だが青年の他に、もう一人の「異常者」と、2人の「異常者のなり損ない」がいるという。
「異常者」の席は3つ。まだ一つ、空席がある。
その空席に座るのは、どちらの「なり損ない」か。
信じるも信じないも個人の自由だ。けれど、
まあ、これが本当かなんて分からないんだけどね。
あいつの真っ赤な嘘かもしれないし、あの子が限界の果てに考えた妄想かもしれない。
とは言え、わたしもお兄さんももうほとんど残ってないんだけどね。
別にわたしからしたら些細なことだし、
他にもあげるとしたら、ちょっとしたお礼かな。
そのお礼として。それに、勝者がボロボロの死にかけってのは、ちょっと格好つかないでしょ。
もっともな質問だね。
あのときさっさと決着がついていれば、こんな面倒はなかったんだけれどね。あの子も、独りになることはなかった。
結局、死ぬときはみな独りなんだしね。どちらにせよ、あの子が最初に死んでた。
それをするってだけだよ。そのためにわざわざ「錬金術」をこっちに呼び出して時間を巻き戻して停止させたんだ。
本来は違うらしいけどね。この席ただ空いてただけだし。
お兄さんが【破滅】をもたらし、それが壊れすぎれば【修復】するのがわたしの役割。もう一人はそれが壊しすぎず直しすぎずを監視的な? まあ、そこら辺は興味がないからよく知らない。
これ?
何? って聞かれたらドールって答えるでしょ。
あ、本名は言わないスタイルなのね。
オーエンは別人格とかじゃないし、そういうのが出るのって精神崩壊起こしたときでしょ? わたしはそういうのないから。
さすがに自分の身体と人形同時に動かして喋りは難しいし。
わざわざ造ってあげた身体を何食わぬ顔で斬るのやめろよ。
は?
お前いなくても武器ありゃできるんだよ。




















編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。