藍にビンタされて、まぁまぁ痛かった
それから今度は部屋に籠城してしまった
どうにかして謝って、許してもらえるように
俺はご機嫌 取りをし始めた
永露さんのアドバイスをもらい
山荘 限定のラウンジでセルフサービスで提供されている
アイスクリームとジュースを持って帰ってきた
電話?
珍しい…
終わるまで待っていようと思ったら
突如として藍の大きな声が聞こえてきた
3人で顔を見合せて
先輩2人はサッと襖の前に近くに寄った
聞き耳を立てるのはあんまり良くないんだけど…
流石に気になるので俺もそれに倣った
もう一度、3人で顔を見合せた
なるほど…
確かに恋人の俺ですら『可愛い』と思いまくってるんだから
歳の近い兄からしたら
人懐っこくて、明るくて…可愛い弟なんだろうな
おぉ…関西弁だ
藍、俺の前だとあんまり使ってくれないんだよね…
なんでだろう…
藍からお兄さんを紹介してもらったら
丁寧に、失礼のないように真摯に挨拶をするつもりなのに…
どうしたら認めてもらえるんだろう…
と本気で悩み始めた時、更に大きな声が聞こえてきた
…ヒートアップしてきたのかも
分かる…
名前とか普通に呼びそう…
意味はないだろうけど少しだけ身なりを整えてから
静かに声をかけた
健人さん、宮浦さん
の言葉を飲み込んだのが分かった
これ…勘のいい人なら分かっちゃうよね…
ダメだった、即バレした
しかもなんか敵意 剥き出しじゃない…?
気のせい?
あとすぐに気付くほどお兄さんにとって俺は要注意人物として警戒されてたのかな…
なんで…?
液晶越しでも分かる
お兄さん…あまりの衝撃に言葉を失ってる…
藍が俺に飛びついてきて
咄嗟に受け止めた
それから甘えるように擦り寄ってきた
お兄さんに俺を反対?された反骨精神なのかも…
よしよし、とあやしながら藍のスマホを貸してもらって
恐る恐る話しかけた
『み?』と不思議に思って耳を離して画面を見た
それのお陰で助かった
直後に絶叫といえる程の声量で叫ばれた
多分あのままだったら鼓膜が破れてた
そこからまたヒートアップして
兄弟喧嘩がまた始まった
どうしよう…
藍が俺に抱きつきながら
俺が持っているスマホに向かって怒っているし
お兄さんも負けじと言い返している
永露さんと小川さんに助けを求めるように振り返ると
爆笑している2人が目に入った
……しばらくこのままだな、と諦めた











編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。